昭和のプール、壊れても直せない… 学校の水泳の授業「自校→校外」が広がる バスで20分の移動が必要でも
小学校は学級担任が水泳を教えるのが基本だが、民間施設ではインストラクターによる専門的な指導が受けられる。丸山教諭は、指導体制や安全確保が充実した環境で授業ができることに加え、「教員側も指導のポイントを学べる」と実感を込める。
学校のプールは多くが1960~70年代に造られた
学校のプールは多くが1960~70年代に造られ、老朽化に伴って更新や大規模修繕が必要な時期を迎えている。この間、少子化で児童生徒が減り、廃校となる小中学校も増えた。夏場しか利用せず、多額の費用も必要となるプールの在り方は、各自治体に共通する大きな課題となっている。
大町市もプールの多くが建設から40~50年たち、応急的な修繕を重ねながら維持しているのが実情だ。
1プールで維持費は年120万円
市教委によると、学校プール一つの維持費は水道代や水質検査、ろ過装置の保守点検などで年間計120万円。これに加えて必要な修繕費は22年度までの15年間で、市内小中学校で計約3千万円に上った。市教委は「今後も経年劣化が進むと修繕費はさらにかさむ」と見通す。
同市では13年度に旧第一中学校(現・大町中)が民間施設の活用を始め、現在は大町北小を含む3校で実施している。昨年度の費用はインストラクターの指導料や児童の交通費を含め計212万円。3校がそれぞれプールを維持した場合は計360万円かかると推測し、それより費用を抑えられたとみている。
スポーツ庁は「何らかの対応が必要と認識している」が…
スポーツ庁によると、自治体が学校プールを新築・改築する場合は国庫負担があるが、老朽化に伴う修繕は対象外だ。同庁は「何らかの対応が必要と認識している」とするものの、具体的な検討はこれからだという。
自治体は修繕のたびに予算を捻出しなければならず、負担は小さくない。今後の小学校再編を控えている大町市はプールの新設はしない方針で、市教委の担当者は「安心安全な水泳授業ができるよう、プールの在り方を考える時期に来ている」と話した。
移動に手間、受け入れ時期の調整必要
民間プールなど外部施設の活用は、学校から移動する手間が避けられない。授業時間の制約を考慮すれば近くにあることが条件となり、立地によっては活用が難しい学校もある。一方、施設側の受け入れ人数には限りがあるため、屋内プールの利点を生かし、水泳の授業期間を冬まで延ばすケースも出てきた。