昭和のプール、壊れても直せない… 学校の水泳の授業「自校→校外」が広がる バスで20分の移動が必要でも
長野県内公立小中学校の水泳授業で、民間や公営のプールを活用する動きが広がっている。施設の老朽化が進む中、少子化に伴う児童生徒の減少も相まって、維持管理に多額の費用がかかる自校プールの在り方について各市町村は頭を悩ませる。 【ひと目で分かる】授業で外部のプールを使うメリット
外部施設の活用は、費用削減や教員の負担軽減といった利点が多い。ただ、近隣に利用できる施設があることが前提となり、学校の立地条件によっては移行が難しいケースもある。(森優斗)
【記事のポイント】 ▽小中学校の水泳授業で、民間や公営のプール施設を活用する動きが広がる。自校施設が老朽化し、維持が難しくなっているため。 ▽民間プールは屋内で計画的な授業ができ、教員の負担も軽減されるなど利点は多い。 ▽移動時間の確保や受け入れ先との調整が課題。実施が難しい地域もあって工夫が必要。
教員の負担や費用減、天候の影響なく
「『蹴伸(けの)び』の姿勢を崩さないように」「リズムを意識しよう」。12日、中野市の民間施設「ながでんスイミングスクール中野」の屋内プール。男性インストラクターが、同市高丘小学校の6年生35人に声をかけ、泳ぎ方を指導していた。
担任の丸山久美子教諭はプールに入るものの授業の進行はせず、インストラクターのフォローに回る。得意な子は積極的に泳ぎ、苦手な子はサポートを得ながらクロールと平泳ぎを練習した。樋口巧哉さん(11)は「屋内は寒くないし泳ぎやすい」と笑顔だ。
市教育委員会によると、同校のプールは1980(昭和55)年建設。大規模な改修が必要となるほど老朽化したため、2022年度に民間施設の利用を始めた。市内では本年度、同校を含め3小学校がこの施設で授業をしている。
バスの往復に時間がかかるため 水泳は2コマ分
高丘小からは片道20分ほどのバス移動が必要だ。この往復時間も含め、水泳には授業2コマ分を充てている。渡辺浩司校長は、移動時間はかかるとしつつも「民間施設では雨や猛暑でも中止せず、計画的に授業ができる」と説明。自校プールの清掃や機械操作、水質検査をしていた教員の負担も軽くなった―と利点を挙げる。