なぜ札幌のショップに全国から人が集まるのか。行列店「ウェイク」の“ここにしかない”魅力
北の大都市・札幌にて、ファッションの名店が集まる南三条西8丁目から400mほど離れた同西12丁目に、時折驚くほど行列をなしているショップ「ウェイク」がある。 ▶︎すべての写真を見る 2019年開店だが、コロナ禍を乗り越え、まもなく5周年。公式インスタアカウントはあるが、ホームページは持たず、ネット販売もしていない、一風変わったショップだ。 「人と触れ合える“対面”が大事。お客さんの顔を見て商品を売りたい」と語る店長の小俣弦也さんは、名店「アンプラグド」に9年勤めて独立。仕入れ先とも顧客とも深い関係を築いてきた。 コロナ禍は、仕入れを切らさないリスクある選択が功を奏して、「お客さんに救われた」そうだ。 店内には、大きなカウンターがドーンと設えてあり、今では自然とここに人が集まってくる。
「ともに歴史を刻みたい」と選んだ無塗装の木目が特徴的なこのカウンターは、ショップの象徴。バックヤードのない店舗では、背後のラックに発売前の商品が掛かっていることも。 前列右から3人目が店主の小俣さん。左隣は、ショップを愛しすぎてスタッフとなった大坂生哉人さん。 ほかは、すべて常連客で、ウェブデザイナーや会社員など職業もさまざま。小俣さんと共通の趣味であるフットサルやサイクリング、アウトドアなどを楽しむ仲間も含まれる。 小俣さんによるショップのルック撮影でモデルを務める人も。
「お洒落し始めの若い頃、いわゆる“有名店”に入るのが怖かった。でも、いざ入ると、スタッフが話しかけてくれて、うれしかった。そんな居心地の良いショップにしたいんです」。
一方で、小俣さんの人脈で生まれる数々のコラボ品、オリジナル品といった魅力の品揃えも全国のファッション好きのハートを刺激する。
「大好きなストリートを軸に自分の今を反映する。その選択には自信があります。ただ、商品を愛しすぎて、“売りたくない”と思うことも(笑)」。
オルウェイズやファーラー、ルックスタジオなど、ストリート好き垂涎のブランドが揃うだけでなく、ショップが手掛けるコラボ品も販売。 情報を仕入れたファンたちがレアアイテムを求めて、日本全国から集まってくるのが行列の理由だ。
「ファッションは東京中心ですが、札幌でしか買えない物があってもいいじゃないですか。札幌に来たついでにスーベニアとして買うのでもいい。来てもらえれば、近くの美味しい店なんかも紹介できますよ(笑)」。 対面重視の小俣さんが醸す楽しげな雰囲気と、切れ味鋭い商品展開こそウェイクが放つ魅力だ。 ウェイク オープン:2019年 住所:北海道札幌市中央区南三条西12-325-13 東和ビル3F 國枝琢磨=写真 髙村将司=文
OCEANS編集部