【大学野球】明大・宗山塁のプレースタイルは「美しい」 栗山英樹氏がクギ付けになった2つの所作
取材対応を7回終了後に変更
【9月22日】東京六大学リーグ戦 明大3-0東大(明大2勝) プロの目は厳しいが、いくつものチェックポイントをすべてクリアした。日本ハム・栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサーが9月22日、東京六大学リーグを視察。お目当ては、2024年ドラフトにおける「超目玉」と言われる明大・宗山塁(4年・広陵高)だ。 【選手データ】宗山塁 プロフィール・寸評 東大2回戦。宗山はリーグ史上34人目の通算100安打に王手をかけていた。第1打席は四球、第2打席は投飛。当初は5回終了後に取材対応の予定だったが「もう1打席、見たい」と、7回終了後に変更された。6回表、先頭打者の宗山は快音を残しながらも、左飛に終わった。報道陣の前に登場した栗山氏は「待たせてすみません。絶対、打つと思ったので……」と、興奮気味に話した。 「間違いなく打つ選手だと思っていますし、すべて打って、結果が出たほうが良いと思うんですけど、その辺の良さはつかんでいるつもりなので、なるべく多く見て、良くないことが、何なのか。良くないときに、どうなのか。そこを見たいと思っていました」 栗山氏は宗山のプレースタイルを一言で「美しい」と口にした。その真意とは、何か。 「できることをしっかり準備して、常にやり切って、きちっと基本に忠実に動いていく」
見当たらなかった欠点
2つの所作にクギ付けになった。誰もが見ても分かる、好プレーを評価するのではない。百戦錬磨のプロの視点は、次元が違った。 「カウントが変わりました。誰が一番、外野手の位置関係をチェックしているか。彼が一番、レフト、センターの距離間を見ている。当たり前のことが当たり前にできるというのは、こちらから見ると、美しく見える。できることをちゃんとやっていくということが、美しさにつながる。そういう選手が、プロ野球で活躍すると思っている。グラウンドに来ないと、見られないものもある。こういう選手とやりたいと、監督は思うわけです」 さらに、高評価は続く。2つ目のプレーだ。 「できる準備をしっかりやって、今、どういう状況なのかが確実に見えていて、自分が何をすべきか状況判断が正しいから結果が出る。皆さんは良い所を見たいかもしれませんが、もうちょっと違う何かが見られるのかな、と。ピッチャーフライを打った後も『しまった!!』と思った瞬間、すぐに一塁まで全力疾走ができていたり……。随所に何となくプレーしているようにしていても、こちらに感じるものがある。野球界全体としてこういう選手が生まれてくるのはありがたいです」
取材対応後、8回裏の第4打席は四球。この日の100安打到達はならなかった。むしろ、結果が出ない試合にこそ、見るべき価値がある。栗山氏は1試合を通じ、細部までチェックしたが、宗山の欠点は見当たらなかった。 攻守にスキがなく、また、1プレーに一喜一憂しないのが、宗山のポリシーである。神宮で表現できるのは、常日頃からの練習、安定した寮生活、学校生活が根底にあるから。責任と自覚は、学生レベルを超越している。あらためて「即戦力」であることを証明した。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール