名スカウトが選ぶドラフトで1位指名すべき12人の逸材
プロ野球ファン注目のドラフト会議が、いよいよ2日後(10月20日)に迫ってきた。各球団の編成、スカウトは、当日の会場のテーブルに付くまで情報を集めながら、指名ランクづけの作業を行うが、元ヤクルトのスカウト責任者で、古田敦也や宮本慎也らの逸材を発掘した片岡宏雄氏に、今ドラフトの格付けをする中で「1位指名すべき逸材」、逆に「人気だけど危なさも兼ね備える選手」をピックアップしてもらった。 片岡氏は「今ドラフトで能力、素材、将来性を含め事実上の特Aは4人」と断言した。 表を参考にしてもらいたいが、片岡氏が特Aと評価したのは、最速156キロをマーク、昨年プロの若手選抜との交流戦で7連続三振をやってのけた創価大の田中正義投手、今年7完封を記録して最速153キロの桜美林大、佐々木千隼投手、夏の甲子園優勝投手、作新学院の今井達也投手、左腕でありながら最速150キロをマークした履正社の寺島成輝投手の4人だ。 「田中は、肩の状態がどうかが問題だろうが、深刻でなく回復の見込みがあるなら、まぎれもなく特Aの1位候補。ストレート、変化球、まとまり、プレートさばきも含めて、即ローテに入ることのできる一級品だ。 安定感ならば佐々木。春から下半身に強さが出ている。そう伸び幅は期待できないが計算は立つ。逆に寺島は成長も期待できる。上半身と下半身のバランスに問題があって即戦力の安定感を彼に求めるのはまだ酷だが、直球で空振りを取れ、リズムが抜群でリリースポイントが安定して打者に近い位置にある。中日で夏場からローテに入った小笠原よりも上。素材として江夏豊級だろう。チーム事情として左が足りない、というところは、寺島に入札してくるだろうと思う。 ただ、そういうチーム事情を抜きにして考える場合、私がスカウトの責任者ならば、迷わず今井を1位指名する。彼はピッチャーに必要なものをすべて持っている。まだプロとしての肉体に“芯”がないが、制球力もあり、間合い、センスを持っている。肘の使い方が柔らかい。無理をさせることなく育成ができるチームに入ることができて、体の“芯”がついてくれば、将来、メジャーに行ったマエケン、岩隈級の大エースになれる可能性がある」 片岡氏が、続くA評価にしたのは、瀬戸内高時代に、そのスライダーをダルビッシュ有に絶賛された東京ガスの山岡泰輔、日米大学野球で存在感を示した明大の本格派、柳裕也、そして「高校ビッグ3」と評価されていた花咲徳栄の大型左腕、高橋昴也に、甲子園組からは、広島新庄の左腕、堀瑞輝、フォームがそっくりなことから“松坂2世”と呼ばれていた最速154キロの創志学園の高田萌生、さらに甲子園出場はできなかったが、東海大市原望洋の右腕、島孝明を“隠れ1位”としてピックアップした。 「山岡は、ピッチングによどみがない。。体をうまく使っていてバランスがいいい。ストレートと変化球の腕の振りや形が変わらないし、アウトコースの出し入れができるから、結果は出せる。だが、将来大化けするような面白みはない。社会人では、大阪ガスの左右2人(酒居知史、土肥星也)も即戦力だろう。 中日が狙っていると言われる柳は体が堅いことが少し気になるが、ボールの出所が独特で打者は戸惑うかもしれない。スケールも大きい。高校生では、下半身に馬力がついて、ここぞのところでボールに力があった左腕の高橋が素材として魅力。ただ個人的に評価しているのは、東海大市原望洋の島だ。馬力があって、しっかりと体重がボールに乗っている。ストレートは一級品。甲子園には出ていないが、ビッグ4と相違はない。 広島の堀は、キレがあり球筋がいいし、打者に向かっていく姿勢も買える。松坂2世と呼ばれる高田は、甲子園では評価を落としたのかもしれないが、投げる形とプレートさばきは目をひく。投球フォームとバランス、球離れもいい。ストレートは、最速で154キロにアップしていたしスライダーに制球力もある」