【バレー】甲斐優斗「コートに立っている姿を見せられれば恩返しに」母の応援原動力にパリ目指す
今夏のパリ五輪でミュンヘン大会の金以来、52年ぶりの五輪メダル獲得を目指すバレーボール男子の日本代表候補、甲斐優斗(20=専大)。昨秋の五輪予選W杯バレーで切符獲得に貢献した候補メンバー最年少のアタッカーは、母の応援を原動力にパリのコートを目指す。 ◇ ◇ ◇ 幼い頃の思い出の中の母照美さん(52)は、いつもバレーボールの会話に興じている。「小学生の頃はプレーの反省とか、家にいたらほとんどがバレーの話でした」。甲斐はママさんバレーで活躍する母と、9人制バレーの元実業団選手で少年クラブの監督を務めていた父の下、幼少期から英才教育を受けてきた。兄の孝太郎も今季からVリーグ1部サントリーに入団。生粋のバレー一家において、照美さんは常に「頑張ってね」と背中を押してくれる存在だった。 昨秋の五輪予選W杯バレーは、実家の宮崎から代々木体育館にかけつけて応援。今季はフランスリーグでプレーしたが、SNSを通して動画をくまなくチェックしてくれていたという。「ほんとにバレーボールが大好き。自分が代表で活躍することが母の生きがいというか、楽しみの1つになってるのかな」と、照れくさそうに笑った。 甲斐は普段、口数も少なく、感情を前面に出すタイプではない。兄孝太郎も「こいつ、本当に全く家族に連絡しないんですよ(笑い)」と話すが、200センチの大きな体には母への愛が詰まっている。高校時代に父を大腸がんで亡くした後も、変わらずサポートを続けてくれた。「小さい頃から何不自由なくバレーをさせてもらっている。ホントに感謝しています」。そう、真剣な表情で打ち明けた。 パリの舞台に立てるメンバーは12人。21日にブラジル・リオデジャネイロで第1週を迎える国際大会ネーションズリーグでアピールし、熾烈(しれつ)な争いを勝ち抜く決意だ。「自分のプレーを見ることが好きなので、出来る限りコートに立っている姿を見せられれば恩返しになる」。照美さんへの思いを胸に、全力でポジションをつかみにいく。【勝部晃多】 ◆甲斐優斗(かい・まさと)2003年(平15)9月25日、宮崎県延岡市生まれ。小2時に父が監督を務めていた延岡南バレーボールクラブで競技を開始。日南振徳高では3年時に春高バレー初出場で4強進出。22年に専大に進学し、18歳で初の日本代表入り。23-24年シーズンは大学に在学しながらフランスリーグ・パリで活躍。身長2メートルのアウトサイドヒッター。