編集者・岡本仁の旅先コーヒー案内。【大阪・神戸編】
LONG WALK
大阪市北区天神西町 若い店主が、ターンテーブルでジャズのレコードをかけている。通りに面した大きな窓からは、外の通りを行き交う人々や車がよく見える。それでも充分だが、付け加えるならカレーも美味しい。そういえば、ぼくが昔から好きな喫茶店は、コーヒーだけではなくカレーも美味しいところが多かったなあ。
ぼくは大阪に来ると阪急梅田駅に行きたくなる。あの美しい阪急電車の車体を眺めているうちに、それだけでは物足りなくなり、そのまま電車に飛び乗る。そして神戸三宮まで。このキャラクターの大いに違うふたつの都市も、特急ならわずか30分しかかからない。そこから歩いて『エビアンコーヒー』に行く。いや、エビアンは朝早くに行って朝ごはんを食べるほうが好きだ。だから神戸元町のホテルを予約して、翌日のコーヒーをここで飲む。大阪へ行くのはその日の夕方だ。そして大阪淀屋橋のホテルに泊まって、翌朝は朝ごはんにうどんを食べる。
阪急電車
写真を撮っている自分が写り込んでしまうほどにピカピカに整備が行き届いた電車。そのカラーリングも美しい。この電車に乗ること自体が楽しみのひとつになっている。特に阪急梅田駅で次々と入ってくる電車、そして発車する電車を見るのが好きだ。ただ、可能な限り地下街には入らないようにする。梅田の地下では迷うことが多い。それも一度や二度ではない。なかなかの迷路だと思う。
エビアンコーヒー
神戸市中央区元町通 よく泊まるホテルは、この店の近くにある。というよりも、この店の近くのホテルを探したのだ。白いシャツにネクタイ、あるいは白い上着を着た男性が働くカフェというのは、それだけで気持ちが良いものだ。そして椅子に張られた緑のビニール。古い映画を観ているような心持ちになってくる。
神戸で忘れてはならないのは『六珈』という店。ここも友人が教えてくれた。というか友人の友人の店だ。そんな訳だからこの店のご主人と一緒に酒を飲みに行ったことがある。その時に水道筋の面白さを知った。たぶんここでコーヒーを飲まなければ、ひとりでは行こうと思わないエリアだろう。