<ダンス規制>「明るさ『10ルクス超』の根拠は?」 風営法改正案に困惑する声も
ダンス名目の規制が外れたのは「一歩前進」
風俗営業点として規制しているものを照度という聞きなれない言葉でルール作りをするには、まだまだ議論が必要だという意見が出てきています。 「ダンスに着目した営業規制が外されたのは一歩前進といえます。ただ、議論が足らず拙速に改正法案を作って、照度という新たな規制ができるだけでなにも変わらないということになってしまっては意味がないと思います」 こう言うのは「クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)」で広報を担当するダースレイダーさんです。ダースレイダーさんは自身がアーティストであり、クラブという場を利用するユーザーでもあります。 「たとえば、10ルクスの根拠はなんでしょうか。演劇で暗転という演出がありますが、あれはどれくらいの時間暗いとダメなのか、クラブでも入り口とホールでは明るさが違いますからどこの照度なのか。また、照度を一定時間計測した平均とする場合、どれくらいが適当なのか。要は、どれくらい気をつければいいのかまったくわからないのです」 照度ひとつとっても、法改正以前にまだまだ論点が多くあるのです。改正案を検討している警察庁は、こう言います。「現段階でお話しできることは今国会で改正法案を提出予定だということだけです」(警察庁)
クラブ側の自主規制やマナー向上も急務
クラブってなんだか怖い──。そんなイメージがあります。理由を挙げてみると、深夜に大きな音を出している。酔った店の客が外にでて騒ぐ。過激な服装やタトゥーをしている人が出入りしている。不純な異性交遊が行われている等々……。 それが偏見だとしても、それを是正できなかったり、助長する傾向があるのは否定できません。少なくとも深夜営業が禁止されているにも関わらず、深夜営業をしているクラブが多くあるのは事実でした。 「昨年4月末、ダンス文化推進議連が立ち上がり、議員会館でクラブの問題点についてのヒアリングが行われました。ただ、そのタイミングではクラブの経営側が参加することにはためらいがありました。というのも、経営側が必ずしも風営法を守れているわけではなかったからです。グレーな存在のまま、リスクのある行動は取りづらいというわけです」 そこで経営側と規制側の橋渡しとなったのが、ダースレイダーさんをはじめとするアーティストたちでした。 「ぼくたちはクラブを経営側と一緒に運営している面もあるし、ユーザーとして利用している立場でもある。それにそれぞれが自分の顔を名前で商売しているわけだから、責任もある程度は負える。そこでアーティストたちが議員にクラブの現状をプレゼンするというところから始まることになったのです」