知らなかった!「会席料理」と「懐石料理」は別のもの。
日本で暮らしていても意外と知らないことも多い、日本ならではのマナーや食文化。スウェーデン人漫画家オーサ・イェークストロムさんといっしょに、改めてマナーや日本文化について学んでみませんか? 【マンガで確認】会席料理と懐石料理の違いって?『北欧女子オーサ日本を学ぶ』を読む オーサさんは漫画やアニメなどの日本文化に興味を持ち、2011年にスウェーデンから東京に移り住みました。いまは日本で漫画家として活躍しています。そんなオーサさんの視点から見ると、日本での食事やマナー、私たち日本人が「当たり前」と思いながら過ごしている日本の文化や習慣も、不思議に思うことも多いようです。『北欧女子オーサ日本を学ぶ』では、オーサさんが専門の先生への取材を通して作法や成り立ちを学び、さらなる知見を広げていきます。 日本文化をより深く知るために、とある会席料理のお店でテーブルマナーや食分野の専門家・小倉朋子先生からと一緒に食事をすることになったオーサさん。今回は「会席料理」と「懐石料理」の違いについて教えていただきましょう。 ■「会席料理」と「懐石料理」の違い 小倉先生「今日いただくのは会席料理です」 オーサさん「会席料理…ってなんですか?」 小倉先生「和食のフルコースのことです。旅館やホテルで出される特別なときに食べるお料理のこと。ちなみに『会席料理』と『懐石料理』は別ものなんです」 ◆会席料理 (1)先付 (2)吸い物 (3)お造り (4)煮物 (5)焼き物 ーーオプションーー (6)揚げ物 (7)蒸し物 (8)酢の物 ーーーーーーーーー (9)お食事 ◆懐石料理 (1)飯碗・汁椀・向付 (2)煮物椀 (3)焼き物鉢 ーーオプションーー (4)預け鉢・強肴 (5)小吸い物椀 (6)八寸 ーーーーーーーーー (7)湯桶・香の物 小倉先生「『懐石料理』はお茶会で出されるお食事のこと。抹茶を空腹で飲むと胃が荒れるから軽い『おしのぎ』として作られたんです」 オーサさん「そんなにカフェインが多いんですか!?」 小倉先生「今日いただく『会席料理』はごはんとお味噌汁が最後に出るのが特徴です」 オーサさん「歴史がありそうな食文化ですね」 小倉先生「ええ、もともと室町時代に始まって、のちに会席と懐石を区別するよう漢字が分けられたと言われています」 オーサさん「日本でもスウェーデンでもフルコースのレストランに言ったことないから楽しみです!」 小倉先生「会席料理は季節を楽しむ料理で、季節を感じさせる器に盛られて出てきます。日本は四季の違いがはっきりしているので、夏は冷たいもの、冬は温かいものになります。今は2月なので(編集部注・取材時が2月)初春のメニューになります。少しだけ季節の食材が使われていることがわかりますか?先付に山菜…お造りの魚は春が旬の鯛、花ものせて春らしく…」 オーサさん「旬の料理を食べるのは日本の大好きなところです!短い間しか食べられないものを大切にするところ、季節を感じられてワクワクします!栄養価が高くて体にもいい食べ方、大ファンです!」 小倉先生「デザートにも春の果物のいちごが使われています。季節にとれるものだけでなく季節を象徴する盛り付けもあります。例えば、この海老は節分をイメージしています」 オーサさん「節分??」 小倉先生「鬼の金棒の形に見立てています」 オーサさん「それは外国人として全然わからないものですね!これはディープジャパン…」 小倉先生「文化を深く体験できるのが会席料理の楽しみのひとつですよ」 【まとめ】 『会席料理』と『懐石料理』は別もの。 『会席料理』は和食のフルコース、『懐石料理』はお茶会で出されるお食事のこと。 ■【プロフィール】 著者:オーサ・イェークストロム 1983年生まれ。スウェーデン出身。幼い頃にアニメ『美少女戦士セーラームーン』と漫画『犬夜叉』を知って漫画家になることを決意。2011年に東京へ移り住む。2015年に漫画家デビュー。著書に『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』1~5巻、『北欧女子オーサのニッポン再発見ローカル旅』『北欧女子オーサ日本を学ぶ』『北欧女子オーサ、日本で恋をする。』などがある。 監修者:小倉朋子(おぐらともこ) (株)トータルフード代表取締役。フードプロデューサー、食の総合コンサルタント。 亜細亜大学講師、日本著文化協会代表。世界各国の正式なテーブルマナー食にまつわる歴史・文化・経済などを総合的に学び、 生き方を整える「食輝塾」主宰。美しく凛とした食べ方を推進すべく活動している。 著書に「世界一美しい食べ方のマナー」(高橋書店)、「私が最近弱っているのは毎日「なんとなく」食べているからかもしれない」(文響社)など多数。 ※本記事はオーサ・イェークストロム著、監修=小倉 朋子、金田一 秀穂、杉山 美奈子、岩下 宣子の書籍『北欧女子オーサ日本を学ぶ』から一部抜粋・編集しました。