大みそかも断水で共同洗濯機…液状化で傾いたままの町 能登地震1年
最大震度7を観測した能登半島地震から、1月1日で1年。地震で大規模な液状化の被害を受けた石川県内灘町の一部では、ライフラインの途絶に苦しむまま、年越しを迎えている。 【写真】地震前日の大みそか。能登にも家族の笑顔があふれていました 同町西荒屋地区では、地面が波打ち、電柱や標識は傾いたままだ。50軒余りを見回して、しめ飾りが見えるのは1軒だけ。公民館では、今も自宅で生活用水が使えない人向けの共同洗濯機を利用する人の姿があった。 31日午後4時前には同町内に虹もかかったが、生活再建の見通しが立たないとの声が聞かれる。 普段から共同洗濯機を利用している地区の男性(54)は、自宅周辺の配管が損傷し、トイレと洗濯に困っているという。排便は袋に入れて処理している。「望むのは、すべてが自分の家で完結する生活。しめ飾り? そんな気にはならない」と語った。 近くで暮らしていた男性(70)は、築45年ほどの自宅が液状化で沈み、大規模半壊に。町外のみなし仮設住宅から、大みそかに合わせて家の様子を見に来た。「30センチも掘れば水が出てくる。この年では建て替えもできんし、新しい災害公営住宅に期待するほかない」という。 町では2852棟の住宅で被害が確認されたという。(土井良典)
朝日新聞社