<明秀旋風’22センバツ>/上 「打ち勝つ野球」体現 主軸にパワーと柔らかさ /茨城
「明秀日立の野球は打ち勝つ野球。打撃は全国で通用するし、頂点も狙える」。第94回選抜高校野球大会への出場の知らせが届いた28日、記者会見に臨んだ金沢成奉監督は自信をにじませた。 「打ち勝つ野球」を体現する長打力は、高校生離れした体格から生み出される。ウエートトレーニングで鍛え抜かれた各選手の腕、背中、下半身は力がみなぎり、ユニホームははち切れそうだ。 しかし、決してパワーだけの打撃ではない。特に主力打者は直球を強くたたきつつ、変化球にしっかり対応して正確に振り抜く技術がある。 印象的な一打があった。昨秋の関東大会準決勝、木更津総合(千葉)戦。3―2で迎えた六回表の攻撃だった。1死無走者の場面で右打席に立った4番・武田一渓(2年)は初球、外角へ逃げるボール気味のスライダーを右翼方向へすくい上げた。 相手投手は打ち取った手応えがあったのだろう。余裕を持って振り返ったが、打球の勢いを見て「まさか」と言わんばかりに両膝に手を置き、うなだれた。風に乗ってぐんぐんと伸びた打球は、そのまま右翼席へ。試合の流れを決定づけるソロとなった。 翌日の山梨学院(山梨)との決勝では、3番・石川ケニー(2年)が存在感を示した。4―6で迎えた五回裏、先頭打者で左打席に立つと、初球のカーブに下半身が崩されることなく強打し、右翼席へ放り込んだ。2本とも、パワーと柔らかさを兼ね備えた、強打線の主軸らしい一発だった。 新チーム発足後、公式戦10試合で計14本塁打。武田の4本塁打を筆頭に、レギュラー9人のうち6人が本塁打を記録している。明秀日立を率いて10年目の金沢監督は「打線のスケール感はこれまでで一番。武田と石川がそろって打てば、どこにも負けない」と言い切った。 ◇ 4年ぶり2度目のセンバツ出場が決まった明秀日立。選考委員会に高く評価された強さを、昨秋の公式戦の戦いぶりから探る。