飲食店の倒産が過去最多ペースに…好調な「丸亀製麵」にも気になる“3つの兆候”が
丸亀製麺を中核としたトリドールの課題
丸亀製麵を中核として勢いを増すトリドールだが、一方で課題も多い。筆者が主な課題だと思う点を3つに分けて紹介したい。 1つ目の課題は、今回の決算だ。トリドールの2024年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比43%減の15億円だった。英国で展開している「フルハムショア」の一部店舗で減損損失5億7800万円、また、海外で繰り延べ税金資産の取り崩しなどで税金費用が増加したようだ。 また、前出のずんどう屋、カフェの「コナズ珈琲」など「国内その他」は既存店が売上は好調で約2割の増収だったが、運営管理面で人員の投入を増やしたことで、人件費率が上昇、原材料価格も高止まりしている。同部門の事業利益は5%減となっていた。 しかし、こういった特損や営業費用の増加がありつつも、売上は25%増の658億円、事業利益は13%増の44億円といずれもこの期間として過去最高だった。売上の半分を占める丸亀製麺の事業利益は22%増と他業態を牽引している。25年3月期の連結業績予想は据え置くなど、経営課題が多いのも事実だが、今後に期待したい。
ライバル「資さんうどん」の動向
続いて2つ目の課題は、競合他社の動向だ。2024年10月、すかいらーくは九州を地盤にした成長著しい「資さんうどん」の全株式を取得し、傘下に加える。すかいらーくは自社で不足する業態は、自社でイチから開発せずM&Aを活用し、時間を節約する経営方針であり、その一環だ。 創業40年で年間売上100億円超(23年実績、123億円)を達成した資さんうどんの買収金額は240億円とのことだが、事業規模から考えて相当な将来性を見込んでいると言われている。丸亀製麺としては、コンセプトが違うとはいえ、同じうどん店として強敵となることは間違いない。 資さんうどんとしては大手資本の傘下に入り、全国展開に向けた準備ができそうだ。現在は店舗数71店舗(24年8月時点)だが、2割の常連客が延べ客数の8割を占めるといったリピート率の高さが強みで、絶対的な顧客基盤を有している。第三極になるか否か、すかいらーくと資さんうどんの統合効果が期待される。