ベンチで厳しい表情を見せる阿部監督（手前は岡本和真＝カメラ・相川　和寛）

◆ＪＥＲＡ　セ・リーグ　巨人１ー２広島（２９日・東京ドーム） 　巨人が広島に競り負け、勝率５割に逆戻りとなった。１点を追う８回、Ｅ・ヘルナンデス外野手（２９）の適時内野安打で追いついたが、なおも２死満塁から岡本和真内野手（２８）が遊ゴロに倒れて勝ち越せず。９回にバルドナードが菊池に決勝ソロを許した。阿部慎之助監督（４５）は、得点圏に走者を置いた打席での凡退が続く主砲について「あそこ（岡本和）で切れてしまうことが多々あるので。ちょっと考えようかな」と打順変更を示唆した。 【ハイライト動画】９回にバルドナードが被弾で惜敗… 　自ら４番の名前を挙げて切り出した。１点差で広島に敗れた試合後、阿部監督は８回１２奪三振１失点と好投した先発・グリフィンについての質問に「ナイスピッチングでした」などと答えた後、こう続けた。「あとは、そうだな、うん、何だろう…」。そこから５秒の間を空けて「和真かな」と言葉を絞り出し、打順変更の可能性を示唆した。 　「本人もどうしていいか分かんないんだろうけど、あそこで切れてしまうことが多々あるので。ちょっと考えようかなと思います」 　０―１の８回２死満塁、ヘルナンデスの一塁への適時内野安打で同点。なお２死満塁、大歓声の中で岡本和が島内の直球を打って遊ゴロに倒れた。７回は１死一塁から左翼線二塁打を放ったが、４回２死二塁で遊飛。防御率０点台の大瀬良に打線全体が苦戦したが、得点圏で直近３試合、６打席連続無安打となった岡本和は「僕が打っていれば点がもっと入っているので」と責任を背負い込んだ。 　開幕から全７３試合に４番で先発出場して打率２割５分８厘、ともにリーグ２位の１３本塁打、３９打点。２７日のＤｅＮＡ戦（横浜）では８回無死一塁から同点２ランを放つなど極度の不振ではない。でも、本来の岡本和ならもっとハイレベルな数字を残せるはず。そこにもどかしさが残る。得点圏打率は２割２分７厘。練習前に対話した二岡ヘッド兼打撃チーフコーチが「いい時と悪い時がはっきりしている。技術、メカニックが多少ずれている部分があるのは間違いない」と分析するように、細かい感覚の微調整を試行錯誤している。 　現役時代、巨人の４番を務めた阿部監督は、その重みを痛いほど知っている。今季も「４番が打てば勝つのが野球」などと岡本和に絶大な信頼を寄せて４番で使い続けてきた。坂本が打撃不振で２軍調整となり、一塁から三塁に回って奮闘する中、このタイミングでの打順変更の検討には、気分転換の意味も込めた親心が見え隠れする。 　打線は１番・丸、３番・ヘルナンデスが絶好調。２番・吉川、５番・一塁の大城卓も存在感がある。岡本和を４番から外す場合の４番候補はヘルナンデスを筆頭に臨機応変で、岡本和を３番などの上位か５番以降に置くかも状況次第となりそうだ。 　指揮官は、１―１の９回２死から菊池に決勝ソロを浴びたバルドナードは責めなかった。１点を追う９回無死一塁から岸田のバント失敗には「あれじゃ点が入るわけないですよね」と課題に挙げたが、阿部監督の中で大きなポイントは４番。だからあえて自らコメントした。 　勝率５割に逆戻りとなり首位・広島と４・５ゲーム差。大事な３連戦３戦目の当日に、２８歳の誕生日を迎える岡本和を何番に入れるのか。聖域に切り込んで最適解を探る。（片岡　優帆） 　【村田真一Ｐｏｉｎｔ】普通の選手なら文句を言われる数字やない。それでも注文がつくのが４番打者の宿命よ。確かに今は本来の和真やなくて、一番象徴的なのは右中間にええ打球が飛ばないこと。右への本塁打は和真の調子のバロメーターやからね。それが今季はゼロでしょ。打席を見ていても外角のベルトから高めの甘い球を捉えきれない。内角を意識しすぎなのか、左肩の開きが少しだけ早くなっているように見えるよね。力を蓄えきれないまま振るから反対方向に強い打球が飛ばない。本人も分かっているはずやし、早くかみ合い始めてほしいよね。（スポーツ報知評論家） 　◆Ｇ岡本の４番苦闘メモ 　▽１９年　直近５戦で２０打数３安打と不振に陥ったことから、７月２７日の阪神戦（東京Ｄ）で４番を外され、７番で出場。原監督の叱咤（しった）を込めた起用に応え、すぐに復調。８月１日の広島戦（東京Ｄ）から５試合ぶりに４番に復帰した。 　▽２２年　開幕から４番を務めたが、７月は打率２割２分２厘、１本塁打、３打点と低迷。８月１１日の中日戦（バンテリンＤ）で４番の座を中田翔に明け渡し、６番で出場。９月は打率３割２分４厘、５本塁打、７打点と復調したが、シーズン終了まで４番に復帰することはなかった。