監督・大森一樹さんの「遺作」が映画に 名作「ヒポクラテスたち」幕末版、京都府立医大150周年で実現へクラファン
2年前に70歳で亡くなった映画監督・大森一樹さんの“遺作”が映画になる。京都府立医科大(京都市上京区)で学んだ大森監督が京都の医大生の青春を描いた映画「ヒポクラテスたち」(1980年公開)につながる作品で、幕末を舞台に府立医大の創立経緯を描く時代劇。府立医大の創立150周年記念事業として企画され、準備を進めた監督の死去で幻になりかけたが関係者の尽力で実現した。公開は2026年の予定。 【写真】「幕末ヒポクラテスたち」の撮影風景 題名は「幕末ヒポクラテスたち」。主役の「蘭方医」を京都市出身の俳優・佐々木蔵之介さんが演じる。元祖の「ヒポクラテスたち」に出演した柄本明さんと内藤剛志さんのほか、真木よう子さんが出演する。監督は、大森監督の助監督を務め、映画「独立少年合唱団」「いつか読書する日」などの監督作品がある緒方明監督が務める。 府立医大は1872(明治5)年に仏教界や住民らの浄財などで設けられた「療病院」が源流にある。映画は、こうした歴史を踏まえ、幕末に京で発生した感染症に立ち向かう「ヒポクラテスたち」の物語として構想された。 「僕の遺作になるかもしれない」と情熱を注いだ監督の死去で企画は足踏みを余儀なくされたが、以降も府立医大が寄付を集め、実現にこぎ着けた。25年度中の完成に向けて撮影が京都市内で11月に始まった。 映画製作を企画した府立医大副学長の浮村理教授(泌尿器外科学)は「大森監督の遺志を継ぐためにも、より質の高い作品に仕上げたい」と話し、クラウドファンディング(CF)で25日から支援を呼びかけている。目標額は1千万円。来年2月22日まで京都新聞社が運営するサイト「THE KYOTO」で受け付ける。支援額に応じて、返礼としてエンドロールへの氏名掲載や台本、出演者の特製サイン色紙などを用意している。