映画賞を席巻中! なるか『ラ・ラ・ランド』以来のオスカーゲット! エマ・ストーン【ハリウッド アノ人のホントの顔】
洋画系映画ライターの第一人者であり、ハリウッドスターや監督への取材経験が豊富な渡辺麻紀さん。そんな渡辺さんが、取材中やその裏側で“見た”“聞いた”さまざまなエピソードはまさにお宝の山。毎回ひとりターゲットを決めながら、その人物が最新作について語ったことから、過去の言動や知られざる素顔まで、アレコレ聞き出します。(ぴあアプリ「海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔」より転載) プライベートのことは話さない主義のエマが夫と密着する写真、素人かと思うような直立姿勢で被写体となる姿など(全8枚)
強烈な存在感を発揮して、再びアカデミー賞主演女優賞候補に
――今回はエマ・ストーンです。『哀れなるものたち』の演技でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされるなど、各映画賞を席巻しているようですね。監督は彼女とは『女王陛下のお気に入り』(18)で一度組んでいるギリシャ出身のヨルゴス・ランティモスです。 渡辺 イギリスの作家アラスター・グレイの同名小説の映画化です。私はこの原作を読んでいないのですが、長尺で映画化は難しいと聞いています。それにチャレンジしたのがランティモス。 正直、私は彼の作品、苦手だったんですが『女王陛下のお気に入り』のときからいいかもと思うようになって、今回の作品が一番お気に入りです。製作費がアップして美術に凝るようになり、彼のそんな美意識が物語の寓話性をより強め、特異な世界観が生まれているからです。最初に注目を浴びた『ロブスター』(15)のときは、世界観がマストの物語なのに製作費のせいで世界が築けなかったんだなあ、というふうに思いましたね。 ――どういう作品なんですか? 渡辺 自殺を図った女性が天才的科学者の手によって、体は成人、頭は生まれたての赤ちゃんのような状態でよみがえる。ベラと名付けられた彼女がさまざまな人間との出会いや冒険を通して、世界を知り成長していく姿が描かれています。 目を見張るのは、細部まで作り込まれた美術です。衣装から小物に至るまで監督の美意識が息づき、独特の世界観が出来上がっている。これが素晴らしい。 そういう中でベラを演じるエマ・ストーンは強烈な存在感を発揮して、まさに“ザ・アクトレス”という感じ。ヘタな女優が演じると、映画の装置のひとつになっちゃいそうですから、すごく頑張ったんだと思います。実際、フルヌードにもなっていて“覚悟”が伝わってきました。監督に全幅の信頼を置いているからできたんでしょうね。 渡辺 彼女はすでに『ラ・ラ・ランド』(16)でアカデミー主演女優賞を獲得していますが、本作でも同賞の大本命なんじゃないでしょうか。 ――麻紀さんは脱ぎっぷりのいい女優さんが好きですよね(笑)。 渡辺 そうなんです。必要なときには惜しみなく脱げる女優さんが好きなので、彼女もいいなって思いました。