北朝鮮軍がロシア西部のクルスク州まで行ったわけは?
北朝鮮軍の投入による戦闘への影響めぐり意見分かれる ウクライナ軍「北朝鮮軍、主に夜に投入」
ロシアに派兵された北朝鮮軍兵力がロシア南西部のクルスク州に移動したという報道が出る中、北朝鮮軍はどのような役割を担うのかなどに注目が集まっている。ウクライナは北朝鮮軍3千人がクルスク州で夜間訓練を受けているとも主張した。 ウクライナとの国境に接しているクルスク州では現在、ウクライナ軍とロシア軍の間で交戦が激しくなっている。ウクライナ軍は8月初め、電撃的に国境を越えクルスク州の一部地域を占領した。当時、奇襲に虚を突かれたロシア軍は直ちに兵力を動員してウクライナ兵の進撃を阻んだが、まだウクライナ軍を国境の外に押し出せずにいる。 ウクライナ軍がロシア領土を占領したのは2022年2月の戦争勃発以来初めて。 ウクライナ軍当局は、ロシア領土を占領した軍事的目的は不明だという西側専門家たちの指摘に対し、「ウクライナとロシアの間に緩衝地域を設けるのが目標」だと主張してきた。 現在、クルスク州での戦闘はロシア軍が攻勢を続けているが、ゲリラ戦を展開するウクライナ軍への対応に手を焼いているという。クルスクでウクライナ軍が統制する面積は8月の1千平方キロメートルから、今は600~700平方キロメートルに減ったが、依然としてソウル市の面積(605平方キロメートル)に近く、ロシア軍も激しい戦闘で損失した兵力を適時に補充できず、苦戦を強いられているという。 ウクライナ現地メディア「キーウ・インディペンデント」はウクライナ軍総司令官オレクサンドル・シルスキ将軍の話として、8月以降これまでクルスクでロシア軍6662人が死亡し、1万446人が負傷したうえ、711人が捕虜になったと報じた。シルスキ将軍は、ウラジーミル・プーチン大統領が24日「クルスクでウクライナ兵2千人余りが孤立している」と述べたことについて、「実際の状況とは全く異なる厚かましい偽情報だ」と反論した。また「ウクライナ軍はクルスク州で3カ月にわたり敵の戦闘力を崩し、能動的な作戦を続けている」と主張した。 ファイナンシャル・タイムズの報道によると、クルスク州ではウクライナ東部戦線とは異なり、戦闘が塹壕など固定された防衛線を中心に攻撃と守備をやりとりする方式で行われていないという。キーウにあるウクライナ安保協力センター(USCC)のセルヒ・クザン所長は「そこでは部隊の位置と攻守が一日に何度も変わる可能性がある」と語った。このため、兵力と火力の優位を前面に出して敵を圧迫するロシア軍の戦術が、大きな効果をあげるのは難しいという。 ロシア軍がこのような状況を打開するためには、広範囲な地域でウクライナ軍を圧迫して追い出す作戦が必要だというのが専門家たちの指摘だ。このためには、まず兵力の補充が欠かせない。このため、北朝鮮軍が同地域に派兵されれば、まずロシア軍の兵力不足を補う効果が期待される。ウクライナ軍特殊作戦部隊が運営する国民抵抗センター(NRC)は28日、ソーシャルメディアなどを通じて、クルスク現地で「3千人以上の北朝鮮傭兵が地上で組織化を始めた」とし「主に夜に(訓練に)投入される」と主張した。 しかし、北朝鮮軍の派兵が戦闘の行方にどれほど影響を与えるかについては、もう少し見守らなければならないというのが大方の見解だ。北朝鮮軍の兵力が戦術的に意味のある効果を出すには少なすぎるという分析も出ている。現在、クルスク州にはウクライナ軍に対抗するためにロシア兵5万人が動員されたという。このような状況で戦勢に影響を与えるためには、北朝鮮軍が少なくとも5万人は必要という指摘もある。 北朝鮮軍がクルスクに派兵されれば、大義名分の面で有利な点もあるものとみられる。ロシア領土の奪還を助けたのであって、ウクライナへの侵略を助けたわけではないと主張できるからだ。 パク・チョンス先任記者、ベルリン/チャン・イェジ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )