「弘前ねぷた」は「青森ねぶた」の脇役じゃない 思い込めてつくり上げられたスタイル、青森在住1年目の記者が触れた魅力
今年は64団体が参加した。運行はまず小型ねぷたの団体からで、次に大型の団体に移る。大型の最初は市役所の「七夕会」だ。一度練習を見学しただけだったが、真っ赤な灯籠の「市役所」の文字が見えたときにはとてもうれしくなり、思わずほおがほころんだ。 ▽「短い夏」に情熱を たまたま、私が卒業した秋田の大学に通う留学生に出会った。フランス出身のシャルレンヌ・ベルテロさん(24)は「日本といえば祭り。本物の雰囲気を体感したくて見に来た」と興奮気味。台湾の呉冠憫(ウー・グワンシエン)さん(22)は来日前からねぶたもねぷたも知っており、祭りを見たくて東北の大学を選んだという。津軽弁では、祭りで血が騒ぐことを「じゃわめぐ」という。じゃわめぐのは世界共通だった。 祭りは山車が通るコースを変え、8月7日まで開催された。この日程は青森ねぶたとほぼ重なり、県外からの観光客は両方を回ることも珍しくない。「ねぶたとねぷたが終わったら青森の夏は終わりだよ」と話す人がいた。「短い夏」に全力をぶつける情熱は、県も国も関係なく見ている人を巻き込んで魅了する。美しくはかない扇を目に焼き付けながら、そんなことを考えた。