ドジャースは“NPBに見捨てられた男”北方悠誠の何を評価してマイナー契約を結んだのか?
大リーグのドジャースとマイナー契約を結んだBCリーグ、栃木ゴールデンブレーブスの北方悠誠投手(25)が30日、栃木県小山市の球団事務所で入団会見を行った。ドジャースからは日本担当顧問の鈴木陽吾氏が出席、栃木の藪下和弘代表、寺内崇幸監督が見守る中、北方は力強く「海外に行ったからといって今のスタイルを変える必要はない。今まで通り自分がやってきたことをやって試合に臨む。その結果がメジャー昇格になるなら嬉しい」と決意を語った。 北方は2011年に佐賀の唐津商高からドラフト1位で横浜DeNAに入団。150キロを超えるスピードボールが注目を浴びたが、制球が安定せず1軍登板は1試合もないまま3年で戦力外となった。トライアウトを経て2015年にはソフトバンクと育成契約を結んだが、支配下登録に至らず再度リリース。トライアウトを再受験したが、NPBの球団からのオファーはなく、翌年からは独立リーグの群馬、愛媛、信濃と渡り歩き、昨年オフに栃木と契約した。 「投げたくない時期もあった。でも、もう一回、思い切り腕を振って投げる自信があった。そこを求めて野球を続けてこれたんだと思う」 その暗黒の時代の心情を北方が打ち明ける。 昨年11月に栃木と契約。トレーニングに集中できる環境に恵まれた。ウエイトトレを中心に遠投なども入れて身体機能が落ちないように休みなくトレーニングを継続できたという。 「2月くらいから実戦に入ってシート打撃にも投げてバッターと対戦する機会をいっぱいもらえた」 元巨人の寺内監督らのバックアップもあって開幕を万全の状態で迎えることができた。体をしっかりと作り直したことで、今季は160キロを連発するまでに自慢のスピードがさらに凄みを増した。そして何より、横浜DeNA時代から苦しんできた最大の課題、制球力にも改善が見られたのである。 「今も制球難なんですが、これまではフォームのバランスが悪かった。そこを求めていっぱい投げて少しずつよくなったんじゃないかなと思う。制球は昔はバッターと勝負できない状態だった。今は勝負できる状態まできた。そこは成長したんだろうと思う」 今季の栃木での成績は11試合に投げて1勝0敗2Sで防御率が5.73。 被本塁打はなく15 奪三振、14四死球。独立リーグのレベルとは言え北方の“覚醒の報”は、ドジャースの鈴木氏を動かすことになる。 「NPBの経験をしている素晴らしい投手がいると耳にして、実際に見にいかなきゃいけないと(栃木に)お邪魔して素晴らしい選手に巡り合うことができた。タイミングというか、いろんな縁があった」