ポルシェが考える“ラグジュアリースポーツカー”とは。新型パナメーラ【試乗記】
ポルシェパナメーラが8年ぶりに3世代目へとフルモデルモデルチェンジした。パナメーラは、ポルシェのラインアップにおいては、4ドアで大人4人が快適にすごせる空間を有した“グランドツーリングカー”。新型の進化のポイントをジャーナリストの藤野太一がスペインからリポート。 【写真10点】ポルシェの新型パナメーラ
タイカンはスポーツカー、パナメーラはラグジュアリーカー
パナメーラはデビュー以来、約15年で3代目へと進化してきた。そうしたなかで、2019年には同じく4ドアの電気自動車タイカンが登場している。パナメーラとタイカンは、パワートレインこそ異なるもののカニバリゼーションを起こしているようにも見える。パナメーラの開発責任者に、内燃エンジン車が欲しければパナメーラを、電気自動車が欲しければタイカンを、という棲み分けなのかとたずねてみたところ、それもあるが本質的には違う役割を担うものという。 「タイカンはスポーツカーであり、いわば4ドアの911、一方でパナメーラはスポーティではあるけれどもコンフォート性能を重視したラグジュアリースポーツカーなのです」と説明する。 新型パナメーラの国際試乗会は、2024年2月下旬、温暖な気候に恵まれたスペイン南部、アンダルシア州の州都セビリアで開催された。出発地点である市内のホテルには、ベースモデルのパナメーラが用意されていた。ボディサイズは全長5052mm、全幅1937mm、全高1423mm。ホイールベース2950mmで先代とほぼ変わらない。 エクステリアでは、ボンネットがより彫刻的になりフェンダーの峰が911や718のように高くなった。運転席からの眺めはまるでスポーツモデルに乗っているように感じるものだ。4つのモジュールが特徴的なLEDヘッドライトのエッジが鋭くなり全体的にシャープさが強調されている。ナンバープレートホルダーの上に、新たに追加されたエアインレットは先代とのわかりやすい識別点だ。歴代パナメーラの特徴である、スポーティなサイドビューをかたちづくる“フライライン”は、もちろん継承されている。ちなみにワゴン版であるスポーツツーリスモはこの3世代目では設定されないようだ。 インテリアはタイカンにはじまった最新のデザイントレンドを踏襲する。メーターはひさしのない自立型の12.6インチディスプレイで、オプションでヘッドアップディスプレイや助手席用ディスプレイも用意されている。オートマチックトランスミッションのセレクターレバーは、センタコンソールからステアリングホイールの右側奥に移設されている(右ハンドル仕様では左側に配置される)。したがってセンターコンソールまわりからはスイッチ類などが省かれスッキリとした印象になった。 パナメーラと4輪駆動のパナメーラ4に共通のエンジンは、2.9リッターのV6ターボ。ブーストアップなどの改良により先代比で23PS/50Nmアップの最高出力353PS、最大トルク500Nmを発揮。トランスミッションは8速PDKを組み合わせる。