【円安・円高…FXの甘い誘惑】30代会社員がはまった「海外FX」のレバレッジ沼、一獲千金狙いも150万円の借金地獄に
■ 為替が想定通りに動かず借金地獄に Hさんは、手始めにクレジットカードを利用して50万円を入金しました。レバレッジは、200倍かけていたそうです。残念ながら、思惑とは別の方向に為替が動き惨敗。そこで、損失を取り返そうとまたしてもクレジットカードで50万円を入金。それもうまくいかずにまた、50万円を入金と繰り返しているうちに気がつけば、150万円もの借金を抱えることになってしまいました。 Hさんのように、予定通りに儲からなければ借金だけが残ります。そして、損失を取り返そうと、さらに雪だるま式に借金が膨らんでいきます。 参考までに、Hさんは、クレジットカードを3枚持っていたのですが、どのクレジットカードも利用限度額が50万円となっていたため、それぞれのクレジットカードで限度額の50万円ずつ入金したそうです。 結局、一獲千金狙いで挑戦した海外FXでしたが、負けが続いて、結果的に150万円の借金を負いました。200倍という高いレバレッジをかけていたので、相場が少し予想と違う方向にいくだけで、投資したお金が全て飛んでしまうのです。 また、借金の返済を毎月定額で支払えるということだけで、リボ払いを選択してしまったHさん。リボ払いの金利は15%程度と高いので、多額の利息返済に追われることになってしまいました。 Hさんは結局、私が紹介した多重債務に詳しい弁護士さんのところにも相談に行き、親からお金を借りて繰り上げ返済をし、残すところ50万円の借金になりました。残りは、毎月3万円ずつ借金を返していくことにしました。
■ FXの落とし穴にハマらないためには 今回は、FXの沼にハマってしまったHさんの事例をご紹介しましたが、HさんがFXの沼にハマらないためにはどうすればよかったのでしょうか。 FXの仕組みを理解し、また投資に対する自分のルールを決めたうえで取引できれば、大きな損失を被ることはなかったのではないでしょうか。 とはいえ、言うのは簡単ですが、投資は感情との闘い。私自身もさまざまな投資をしているので、簡単ではないことはわかります。 基本的なことではありますが、自分の全財産を使ったり、借金をしてまでリスクの高い資産へと投資したりするのはかなり危険だということです。値動きの大きい資産は、大きく儲けられる可能性がある一方、大きく損をする可能性もあります。 リスクの高い資産へ投資する割合は、自身の金融資産全体の1割~3割程度を目安にするのが良いと思います。 残りの7割~9割は、現預金、定期預金、インデック型やバランス型の投資信託、iDeCo、NISA、純金積立などを活用して、安定成長・長期運用を行うと良いでしょう。資産全体の7割~9割でコツコツと中長期的に安定的に資産を増やせているからこそ、1割~3割で積極的な投資ができます。 今回Hさんは高い授業料を支払うことになってしまいましたが、この経験を活かして、明るい未来へとつなげていってほしいと思います。
高山 一恵