12月3日から「障害者週間」。障害者雇用の現場から見えた経営の難しさと企業の挑戦
◆障がいを持つ人への周囲の理解が十分ではなかった
川上さんは自ら経営する会社で障がい者を事務員として雇ったり、飲食店のスタッフとして雇っている。「社会復帰を目指す訓練の場」として、働く環境を提供しているという。 「就労継続支援B型を利用する40名くらいの障がい者を雇っています。例えば、車椅子だけど手は動かせる方だと折り込みチラシの封入作業をしてもらったり、知的障害の方に鳥焼き屋で肉のグラム数を計ってもらったり、障がいの重さなどによって仕事内容は相談しながら決めています。 一般的な企業で働きにくい方にはまずはそこで訓練してもらい、仕事をする意欲を持ち、少しでも工賃をもらって自分で稼いでいる喜びを感じてほしいと思っています」(川上さん) 川上さんは小学校のときに障がいを持つYちゃんという女の子と同じクラスになったのがきっかけで、福祉関係の仕事に興味を持つようになったという。 「Yちゃんは重度の身体障がいがあり、車椅子を使用していました。当時通っていた学校には特別支援学級はまだなく、Yちゃんは通常学級で学んでいましたが、他のクラスメイトはYちゃんを避けがちで、周りの理解は十分ではなかったと思います。 でも私は『Yちゃんも私たちと同じ仲間』と思っていて、Yちゃんとの関わりを通して、福祉の大切さ、福祉教育の必要性を感じるようになったんです。 人のお世話をするのがもともと好きだったというのもあって、困っている人を助けたい、誰かのためになりたいという気持ちが強かったのかなと思います。 Yちゃんとの出会いがきっかけとなって、『障がいのある人々の支援に携わりたい』という想いが芽生えました」(川上さん)
◆公共交通機関を使いにくいことから船を購入!
川上さんは、児童向けのデイサービス(利用者が施設に通い、食事や入浴、機能訓練などの介護サービスを日中に受けられる介護施設)なども運営する。 「小さい子だと電車などの乗り物が好きな子もけっこう多いんですよね。ただ、公共の交通機関だと急に奇声を発したり暴れたりしてしまうこともあって……。そこで、仲間だけが乗る船だったら、周りの方にも迷惑をかけないかなと思って、思い切って船を購入しました(笑)。 プロのヘルパーさんたちにもついてもらって安全を確保しながら、船に乗って海で魚釣りという体験をしてもらいたいなと思ったんです。 夏には船に乗って花火大会を見に行ったり、船ならではイベントもして、利用者にもすごくいい経験を提供できているかなと思っています。おかげさまで、親御さんからも喜んでいただいて好評です」(川上さん) ちなみに船は、車を購入するくらいの価格だったという。「障がいのある人のために」という強い想いから、船まで購入した川上さん。その大胆な性格から、ライブハウスまで購入したという。