ロシア史上最悪のテロ被害に...。モスクワの「イスラム国テロ攻撃」を徹底分析
「そのISの仕掛ける銃撃テロには2種類あります。イスタンブール型とパリ型です。 イスタンブール型とは、2017年1月1日、トルコの首都イスタンブールで起こしたテロです。高級ナイトクラブのニューイヤーパーティーで、ウズベキスタン国籍のプロの殺し屋がAK自動小銃をひとりで速射して、39人が死亡、60人以上が負傷しました。この殺し屋は数日間、トルコ国内を逃げて、治安機関に捕まった。その時、現金で2000万円くらい持っていました。イスラム国にはすごい資金力があるのです。 彼は、最初にISから指示された襲撃場所から『警備が多くてダメだ。ナイトクラブの警備が手薄だからここが行けそうだ』と連絡しました。すると、IS本部は一気に現地の内部構造や警備状況を調査。その殺し屋が1時間で襲撃計画を立案し、ISの支援を受けながらテロ攻撃を実行しました。 これは今回のモスクワテロと同じ型で、襲撃してから自爆せずに逃走しています。 もうひとつのパリ型は、2015年11月13日にパリで発生した同時多発テロです。この時は、フランスに恨みを持った人々がシリアのイスラム国に行き、教育と訓練を受けて、フランスに戻りました。 そして、3グループが同時多発で銃撃及び自爆。カフェ、レストラン、コンサート会場などを襲い、死者130名、負傷者300名以上となりました。 このタイプが一番怖いです。シリアで洗脳され訓練されて、フランスに恨みを持っていて銃撃も巧み。人殺しも平気。さらに、自爆も効果的な場所でした。今回、モスクワテロ攻撃がパリ型の同時多発であれば、もっと被害は大きかったと思います」 モスクワテロはイスタンブール型なので、実行犯は逃走した。 「普通、銃撃が上手く、襲撃するスキルがある人間には、『こいつらを飼っておいて、また繰り返しやろう』と考えます。そのスキルがなければ洗脳して、自爆だけできるように訓練して、使い捨てです。 なので、今回のテロリストたちはある程度スキルのある人間なので、また襲撃テロをやろうとしていたということです。どこかに隠れ家があって、そこに行く途中で捕まったのかもしれません」 ■プーチンの思考法とその先に潜む闇