「平凡なサラリーマンだけど能力を活かして人生逆転!」...誰もが実現可能な「ヤバすぎる」成り上がりの裏ワザ
自身の経験を活かして
私はこの会社をさらに伸ばしたいと思い、事業計画を練りました。まず考えたのは、販売ルートの拡大です。この会社の販売先は、創業以来付き合いのある問屋に卸すルートと、ネットスーパーのOEM(自社ではないブランド名で販売する商品を製造すること)の二つしかありませんでした。それ以外にはまったく営業をしていなかったのです。 対照的に、長年、証券会社で営業マンをしてきた私は、営業には自信がありました。どんな会社の株や、新しい金融商品でも絶対に売り切るというのが前職では当たり前でしたから。知見のない水産加工食品業界とはいえ、販売する商品を事前に勉強して、どういうセールストークで売り込むかという基本は証券営業と変わりません。あとは飛び込み営業をすれば新しい販路を獲得できることが容易にイメージできたのです。 ほかにも面白いことがわかりました。オーナー夫婦はパソコンがまったく使えないのに、EC事業が伸びているのです。これはネットスーパーのOEMでの販売のおかげでした。 このことは自社でネット販売ができれば、より高い利益率になるということを示しています。さらに新たな展開を考えました。その会社が取り扱う海産物は基本的に病気予防のための化学処理をしていましたが、化学処理をしていない新鮮な素材を使った高級ブランド商品を作り、高価な値段で売ることを計画したのです。同時に海外展開も視野に入れました。 ファーストコンタクトからおよそ1ヵ月後、値段交渉のために私は再びオーナー夫婦と面談しました。そこでわかったのが、会社の借入金に経営者保証がついていることでした。私は経営者保証を引き継ぐつもりはなく、外すことができなければこの話は断ろうと思いました。
しかしオーナーから驚きの発言が
オーナーにその旨を正直に伝えたところ、驚きの返答がありました。経営者保証は現状通りオーナーが負ったままで2年間、会社を手伝うとおっしゃってくれたのです。 私は想定外の申し出に驚き、「買います」と即答しました。 値段についても、オーナーから「あなたの言い値でいい」と言われました。頭のなかで、証券会社を辞めてもらえる退職金や、貯金を計算し、その場で「3000万円でどうでしょうか」と伝えました。営業利益の1年半分ですので、かなりの割安です。2年も待たずに買収資金を回収できることになります。 後からわかったことですが、実際にはこの会社の買収には私以外にも3社ほどが手を挙げ、買収価格はいずれも私の示した額をはるかに上回っていたそうです。しかしオーナーは買い手に私を選んでくれました。 2019年秋に正式にオーナーとなってからは、利益率を高めるために経営にテコ入れをしました。 まず、付き合いのあった問屋と値上げ交渉をし、翌年からの値上げに成功しました。これで利益率が改善しました。次に販売先の開拓営業。問屋を通さずにスーパーなどに直接販売しようと営業をスタートさせています。さらに、EC事業の拡大。自社サイトを構築し、Amazonを通じて消費者への直売を行おうとしています。