ハリルの所信表明会見から見えた期待値とは?
メンバー選考に関しては「まだ深くは知らないので、これまでの代表メンバーを中心に選んだ(27、31日の親善試合)。今後は、もしかすれば、毎回メンバーが変わることになるかもしれない。確定している選手はいない。スタメンも決まっていない。Jリーグには能力の高い若い選手がたくさんいると聞いている。できるだけたくさんの選手に可能性を与えたい。代表は、すべての人のもので能力のある人が入るべきものなのだ」と、現時点での白紙を強調した。 一方、日本代表の永遠の命題でもある決定力不足についても、ハリルホジッチ新監督は、独自理論を展開した。現役時代のポジションは、FWで旧ユーゴ代表として15試合に出場して8得点、フランスのクラブチームのナントでは、1981年から6シーズンで163試合に出場して92得点、うち2度、得点王に輝いている名ストライカーだっただけに、「オフェンスが大好きだ」と強調した。コートジボワール監督時代は、超攻撃的なサッカーを推し進めて旋風を巻き起こしたこともある。 日本代表の攻撃力をアップさせるために「スピードアップ」「ボールのタッチ数の制限(ワンタッチかツータッチ)」「ビルドアップしたあと、最後のフィニッシュでは、ゴール前に3人、4人と人数をかける」などの具体的な改善策を披露した。 テンポを重んじた速攻とリスクを怖がらない攻撃。 「引いた相手、引かない相手にどうスピードアップをはかるか。速いだけがすべてじゃない。ポジショニングに、リズムと変化。動く前のフェイントなども大事だ。そういう細かいことから教えていきたい」 新監督は約2週間をかけて、日本代表のブラジルW杯と、ベスト8で終わったアジア杯の全試合のビデオをチェック、分析してきたというが、早くも日本に必要なものを見抜いているように思えた。 日本人でなく、外国人監督を呼ぶ理由のひとつが、欧州の斬新な技術や戦術に直接、触れることにもある。アギーレ前監督とは違い、ハリルホジッチ新監督は、日本の代表メンバーが、のめりこみそうなキーパーソンをいくつか持ってそうにも感じる。だが、テクニックや戦術に走り過ぎる裏に、日本の弱さが潜んでいることも確かだ。