おいしくないのはなぜ? 機内食の味が変わる3つの要因
※この記事は、海外のサイト『delish』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 好きな食事が機内食だという人はほとんどいないはず。機内食とは作り置きの食事を温め直し、紙の容器と頼りないプラスチックのカトラリーと共に提供されるもので、食事体験全体として期待を下回る場合が多い。とはいえ、何千メートルもの上空だと食べ物の味が悪くなるのは、誰もが知っている理由のほかにあまり知られていないものも存在する。 食べ物の美味しさに関わるのは味蕾だけだと思うかもしれないけれど、味蕾は単なる一要素に過ぎない。モネル・ケミカル・センシズ・センターの博士研究員であるロバート・ペレグリーノ博士によると、視覚、嗅覚、味覚、食感、すべてが一緒に働くことで風味を認識できるという。飛行中はこれらの感覚がマイナスの影響を受けることから、食事体験の悪化につながる。たしかに、もともと機内食は最高においしいものではないけれど、飛行中の環境もあまりいいとは言えなさそう。
機内だと食べ物の味が変わるのはどうして?
ペレグリーノ博士によると、飛行中の感覚に影響を与える3つの要因は、機内の低い気圧、湿度不足、高い騒音レベルだそう。気圧と湿度が低いと、嗅覚に影響が出る場合がある。たとえば、鼻の中の湿り気が少ない乾燥性鼻炎では、匂い物質が通りにくくなる。またご存知の通り、嗅覚と味覚は密接に関係している。飛行機での食事がおいしかったとしても、自宅で食べるのとは味が違うと感じるかもしれない。 「アルコール濃度を感知する能力に音が影響することが分かっていますが、味覚にも影響を及ぼします」とペレグリーノ博士。騒音によって味覚がどんな影響を受けるかをテストした2015年の研究では、航空機の客室内の騒音をシミュレートした環境で、実験参加者にさまざまな溶液を味見してもらった。その結果、参加者は甘味の減少とうま味の増加を感じたことが判明し、これには鼓索神経が関係しているという。舌から中耳まで伸びるこの神経は、大きな音によって影響を受ける可能性があり、この神経に乱れが生じると味覚に影響が出る。そのため次回飛行機に乗る際は、隣の赤ちゃんが泣き止むまで食事を控えたほうがいいかもしれない。