【玉ノ井親方 視点】今場所の大の里は右がうまく差せていない 相手も研究している
◇大相撲九州場所4日目(2024年11月13日 福岡国際センター) 新大関の大の里に4日目に土がついた。番付が上がって追われる立場になると、周囲のマークはきつくなる。当然、相手も取口を研究してくるから簡単には勝たせてもらえなくなる。 阿炎は横に動いて、ゆさぶってきた。 当たってすぐに喉輪で上体を起こされ、前に出ようとしたところを絶妙のタイミングで引かれてバランスを崩した。さらに右に動かれ右差しを封じられる。つっかい棒を外される形になり、前のめりになって左脇が空いてしまった。そこを阿炎に突かれ、うまくかいなを入れられ投げられた。 結果論になるが、もっと相手を見て取っていれば展開も違っていただろう。だが、阿炎には先場所敗れていることもあり、立ち合いで上体を起こされ、少し慌ててしまったようだ。 気になるのは、今場所の大の里が右を差す相撲をあまり取れていないことだ。 相手が対策を練っていることもあるが、少し脇が甘くなっている印象を受ける。左からのおっつけも先場所のような厳しさがない。3日目の正代戦のように、胸から当たってくるタイプにはうまく対処できても、そうではない相手の時にはもっと考えて取らないと、やはり苦しい相撲になる。 (元大関・栃東)