「役者を遊ばせてくれる」スピルバーグ監督の魅力をアカデミー賞俳優が語る
スティーブン・スピルバーグ監督作『ブリッジ・オブ・スパイ』でアカデミー助演男優賞に輝いたマーク・ライランス。そんな彼がディズニー映画『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』で再度スピルバーグ監督から出演を熱望されタッグを組んだ。現代最高の監督でありプロデューサーといっても過言ではないスピルバーグ監督から愛される俳優マーク・ライランスの素顔とは……。来日中のマークにスピルバーグ監督の魅力や自身について聞いた。
スピルバーグ監督は役者を遊ばせてくれる
オスカーを受賞した『ブリッジ・オブ・スパイ』、そして本作以降も、スピルバーグ監督との仕事が続くというマーク。稀代の名監督でありプロデューサーであるスピルバーグ監督から愛されている名優は、 「スピルバーグ監督は若い映画監督に古い映画をよく観るようにアドバイスするんです。多様な作品を監督していますが、フランク・キャプラのような伝統的な起承転結のあるストーリーテリングを尊重しているんです」とスピルバーグ監督の特徴を挙げる。 その一方で「最新のテクノロジーにも魅了され、興味を持っているんです」と時代に適合するようにアンテナも高く張っているという。 「伝統的なストーリーに最新鋭のテクノロジーの二つをミックスして非常に巧妙な作品を作り上げるんです」 また現場では「あまり言葉を尽くすタイプではなく、役者を遊ばせてくれるんです」と語ると「もちろんしっかりとした演出プランは持っていますが、誰かがいいアイデアを思いつくと、耳を傾け検討するんです。監督によっては寸分の狂いもなくプラン通りにことを進める人もいますが、スピルバーグ監督はそういうところはありません」とその柔軟性に舌を巻く。 さらに「40年以上映画を作っていますが、常に子ども心を忘れず、イマジネーションが素晴らしい。熱意を一切失っていないんです。また撮影しながら編集をするタイプなので、必要ならすぐに追加撮影することができます。なので現場はすごくスムーズなんです」と賞賛する発言は枚挙にいとまがない。 マーク自身も舞台俳優やグローブ座の芸術監督、そして映画俳優と長年に渡って一線級で活躍しているが、その情熱はあせることがないという。 「僕は30代のころに運良く二つの重要なことに気づいたんです。一つは、お金でもなく名声でもなく演じることが心底好きだということ。デビッド・ベッカムがサッカーボールを蹴るのが好きなのと一緒だね。そしてもう一つは仲間たちがいる場所だということ。僕はシャイなのでパーティーで人と接することは苦手なんです。でも舞台や映画などものを作る場では、一つのことに向かってみんなが情熱を傾けられる。そういう場は好きなんです」