薬剤師は“お薬を渡しておしまい”ではない…学会に参加して感じた【クスリ社会を正しく暮らす】
【クスリ社会を正しく暮らす】 去る9月22、23の2日間、第57回日本薬剤師会学術大会が「彩」をメインテーマとして、さいたま市の大宮ソニックシティ、さいたまスーパーアリーナ、パレスホテル大宮で開催されました。「彩の国埼玉県で行われる、薬剤師の未来を彩る大会」という願いを込めているとのことでした。 手軽に使える市販薬も「飲み合わせ」を甘く見てはいけない 学会に参加すると、発表演題から「薬剤師のみなさんがいま何に力を入れているか?」を読み取ることができます。本年度は、介護施設における薬剤師の訪問など「在宅医療への薬剤師の関わり」や、本年1月に能登半島地震が発災したこともあり、「災害における薬剤師の活動」に関連した演題が多かった印象です。 また、本年度は「薬剤師によるフォローアップ」についての演題が非常に多かったように感じました。患者さんに対する電話によるフォローアップをはじめ、さまざまなアプリを活用したフォローアップに関する発表が目立っていました。薬剤師は、“お薬を渡しておしまい”ではなく、定期的に患者さんのフォローアップを行うことが求められていると感じました。 この他、学会では最新の機器なども展示されています。AIを活用して薬剤師の記録をうまくまとめたり、音声入力による記録作成など、さまざまなシステムがみられました。たとえば「分光分析を活用した散薬の成分鑑査システム」は、一度外から見てなんの粉薬かわからなくても、この機械を使うと判別できるというシステムです。 今まで大学の研究室などでしか使えなかった技術が、一般の薬局でも活用できることにより、患者さんが持参された“ナゾの粉薬”の鑑別や、災害時に患者さんが持参している粉薬の識別などにも活用できるのではないかと感じました。 このような新たな機器を自身の職場でどのようにうまく使うかについて、薬剤師も考える必要があるのです。 (荒川隆之/薬剤師)