相葉雅紀×大塚明夫、モルカーとの共通点に「ほどほどに好奇心があって、ほどほどに怖がり」<映画「PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX」>
俳優の相葉雅紀と声優の大塚明夫がゲスト声優として出演する映画「PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX」が11月29日より公開中。本作は、モルモットが車になった世界を描くストップモーションアニメ「PUI PUI モルカー」の、CGアニメーションによる完全新作映画。相葉が演じるのは、ハイテクなAIモルカーを開発したベンチャー企業・メニメニアイズカンパニーのCEO。大塚は、いなくなってしまった相棒のモルカー・ドッジを捜す凄腕ドライバーを演じる。10月より放送が開始されたTVアニメ「殿と犬」や10月上演の音楽朗読劇「THANATOS~タナトス~」にも共に出演するなど、共演作が続いている相葉と大塚に、互いの印象や声優業の醍醐味について語ってもらった。 【写真】モルカーのぬいぐるみを手に、相葉雅紀×大塚明夫の笑顔ショット ■役柄の印象、自身との共通点を語る「庶民なところですかね(大塚)」 ――お二人それぞれの今作の役柄に対する印象を聞かせてください。 大塚明夫(以下、大塚):私の役は、おそらく貧しい家庭に育ち、物を大切にし、仲間との繋がりを大事に生きてきて、庶民として立派にやっているというイメージですね。 相葉雅紀(以下、相葉):僕の役はすごく正義感は強いんですけど、若さ故に周りがあまり見えていなくて、でも己を信じて突き進むというタイプの役でした。ちょっと破天荒なところもあります。 ――ご自身に似ている部分はあると思いましたか。 大塚:庶民なところですかね。 相葉:(大塚さんは、)庶民じゃないじゃないですか(笑)。 大塚:庶民です。バリバリの庶民。 相葉:大塚さんがやると、やっぱり“大塚さんの作る役”になるんですよね。見ていていつもすごいなと感じます。僕の役は、僕との共通点はあまりないですね。CEOという響きに憧れはありますけど(笑)。 ■相葉、声優としての醍醐味に「キャラクターを構築していく時間が楽しい」 ――声優として役を演じることの醍醐味はどんなところだと思いますか。 大塚:日常の自分から逃げられるところじゃないですかね。普段、自分がやるべきではないようなことも、役の上では取り外せるんですよ。「役だからしょうがない」という大義名分が、どこかで解放に繋がっているように思います。 相葉:僕はお芝居を学校で習ったわけではなく、いろんな現場でいろんな方々から教えてもらったもので積み上げてきました。台本に向かって1人で役作りをしている時は、苦しいんですけど、楽しい。作ったものを持っていったら「この方向じゃない」と言われ、それを持ち帰ってまたやり直したりする。そうやってキャラクターを構築していく時間が楽しいです。 ――体を使って演技をする俳優のお仕事と今回のような声のお仕事とで、演技をする上での違いはどういったところにあるのでしょうか。 相葉:大きくは変わらないんですが、画の秒数が決まっているので、漏れちゃったら次のカットに行ってしまう、という技術的な難しさはすごくあります。体の動きやアクションを封じられて、「この声じゃ伝わらないんだ」という難しさも感じますし、声優さんたちの技術はすごいなと改めて思いました。声のお仕事が続いているのは本当にたまたまですよ。 大塚:例えば、収録を半日でやらなくてはならなかったりして、スパンが短いんです。だから役を作り込んで、みんなして「自分はこうやってみたい」ということをやっていると終わらなくなってしまう。許されないんです。声優をやる場合には「合わせる」という技術も必要になってきますが、かといってそればかりしていると、「好きにやっていいよ」と言われた時、手も足も出なくなっちゃったりするケースもあるので、自分を見失わないように心掛けています。気持ちを集中させて、「撮影期間はずっとその役の気持ちになる」という役者さんもいますが、それが許されないスパンで僕らの仕事は回転していくので、“やっつけ”的になることがないように意識しなくてはいけないと思います。 ■好奇心旺盛で臆病なモルカーとの共通点に、「リスクにおびえたような記憶はあまりない(大塚)」 ――モルカーには好奇心旺盛な面と臆病な面があると思います。お二人の好奇心と、リスクに対する不安について考えを聞かせてください。 大塚:僕は庶民なので(笑)、失うものがあまりないからリスクにおびえたような記憶はあまりないですね。ほどほどに好奇心があり、ほどほどに怖がりな気がします。以前はパラシュートをつけて飛び降りてみたいと思うようなこともあったんですが、そろそろ遊園地でジェットコースターにも乗せてもらえなくなるような年齢なので、空から飛び降りると心臓が危ないかな、というリスクは怖いです(笑)。 相葉:僕も個人的なことに関してはあまりリスクヘッジを考えるようなことはないですね。グループの場合は5人の活動なので5人で考えていかないといけないと思うけど、個人としてはやりたいと思ったことをやっています。ビビッときたものに対して、「あの時にやっていたらどうなっていたんだろう」と後悔するほうが嫌かな。 ■お互いの印象について「渡せば絶対に返ってくる」という駆け引きの楽しさがある(相葉)」 ――直近での共演が続いているお二人ですが、お互いの印象を聞かせてください。 大塚:相葉くんのすてきなところって、自分で自分の声を聞いて完結することなく、ちゃんと渡してくれるところなんです。自分の声に酔ってしまう人は少なくなくて、そうなってしまうと、自分がしゃべり終わったところで完結してしまうので、繋げていきにくいんですよ。僕自身も「そうはなるまい」と日々戒めていますが、相葉くんはそういったところがまったくなくて、ちゃんとキャッチボールができるので楽しい。すごくやりやすいです。 相葉:自分の声がかっこいいなんて思ったこと、1回もないです。 大塚:それがすてきなんだと思う。 相葉:大塚さんとは最近、すごく濃密な時間を過ごさせていただいています。これだけたくさんの役をやってきていらっしゃる大ベテランなので、引っ張っていただいていますし、「渡せば絶対に返ってくる」という駆け引きの楽しさがありますね。 大塚:相葉くんは、当たりが柔らかくて腰も低くて、ものすごく気を遣っている人だと思う。こうして取材に来ていただいている皆さんに対しても「不快な思いをしていないかな」と常にアンテナでサーチしている感じもするし、すごいなと思います。 相葉:うれしいです。大レジェンドの大塚さんとこうして一緒の作品に出させてもらったり、違う現場でも掛け合いをさせてもらったりして、毎回色んな発見があるんです。すごく刺激をもらえるし、楽しいんですよね。今度ゆっくりお酒を飲みながらお話したいです(笑)。 ◆取材・文=山田健史/相葉雅紀スタイリスト=丸本達彦、衣装協力=blurhms ROOTSTOCK(alpha PR)、 blurhms(alpha PR)、ヘアメイク=浅津陽介/大塚明夫スタイリスト=森島あさみ、ヘアメイク=田中裕子