ビットコインなどの暗号資産、金融庁が規制強化を検討…税率引き下げの議論につながる可能性も
金融庁が暗号資産の規制強化について検討を始めたことが分かった。安全な取引に向けて、資金決済法や金融商品取引法など関連法の改正も視野に、有識者を交えて非公開で議論している。より厳しい規制をかけられる金融商品として暗号資産を位置づけることになれば、税制見直しの議論につながる可能性もある。 【写真】トランプ氏「米国を世界の暗号資産の中心地とする」
ビットコインなどの暗号資産は、決済サービスなどについて定めた資金決済法で規制されている。投資対象として存在感が高まる一方で、無登録の取引仲介業者に関するトラブルも相次ぐ。助言を装い、特定の暗号資産の売買を促す個人や団体も問題になっている。
このため金融庁は、規制強化の是非について検討を進めている。2024年度内にも結論を出す方向で、規制強化が必要と判断すれば、25年度の金融審議会に諮る方針だ。
暗号資産を金商法の対象となる金融商品に位置づけ、新たな規制をかけることも視野に入れる。暗号資産の発行主体に対し、事業内容や銘柄の詳細の開示などを義務付けることも可能になるとみられる。無登録業者への罰則も重くできる。
背景には、暗号資産への投資が急増している現状がある。日本暗号資産等取引業協会によると、国内で暗号資産の口座開設数は今年9月時点で1100万口座を超え、5年前と比べて3・5倍に増えた。
米国では今年1月、ビットコインに投資する上場投資信託(ETF)の上場が承認された。トランプ次期米大統領は「米国を世界の暗号資産の中心地に」と宣言し、投資対象としての注目度は一層高まっている。
暗号資産を金商法で規制する場合、税率の引き下げ議論につながる可能性もある。同法で扱う株式や債券、投資信託から得た利益にかかる税率は20%となる。一方、暗号資産の取引で生じた利益は税法上の「雑所得」に区分され、税率は最大55%となっている。
国民民主党は20日、与党に提出した税制改正に関する要望書で、暗号資産の税率を20%まで引き下げるよう求めた。同協会も税制の見直しを求めている。