再利用が難しい車の廃ガラス トヨタが挑むアップサイクルで生まれたものとは
信州諏訪ガラスの里(諏訪市)は12日、トヨタ自動車(愛知県豊田市)や工芸作家と連携し、自動車の廃ガラスなどから作った工芸品の展示を、諏訪市の観光施設「SUWAガラスの里」で始めた。再利用が難しいとして大半が廃棄処分されてきた自動車廃ガラスの「アップサイクル」(新しい価値を付けた再活用)につなげる取り組み。 【画像】廃ガラスを使って完成した作品
10日、信州諏訪ガラスの里の矢島康弘社長(56)らが記者会見し、作品を紹介した。展示したのは「ボルケーノグラス∞(インフィニティ)」と題された高さ15~20センチ、重さ3~4キロの3点。自動車の窓ガラスやリアガラスを溶かした塊の表面に、自動車の廃材として出た金属などを焼き付けた。
制作した仙台市の工芸作家村山耕二さん(57)も会見に同席し「隕石(いんせき)のような表現を通じ、この作品は何だろうと考えてもらうことに重点を置いた」と述べた。
自動車の廃ガラスは硬度が強く、一部は建材などに使われているものの、ほとんどがリサイクルされていないのが現状という。トヨタ自動車は今年に入り、自動車廃ガラスのアップサイクルに本格的に着手。ガラスを通じた環境学習の取り組みを視野に入れていた信州諏訪ガラスの里との間で連携が実現した。
会見に同席したトヨタ自動車構造デザインスタジオの大学孝一テーマプロデューサー(51)は「リサイクル率への貢献からすればわずかかもしれないが、発信を通じ(環境問題などに)興味を持っていただければと思う」、矢島社長は「学びの場を提供していきたい」と述べた。
展示は観光施設内の美術館で。入館料770円。中学生以下無料。