アップルが36%減益、EUの「追徴課税」により四半期で1.5兆円の負担増
アップルが米国時間10月31日に発表した第4四半期(9月28日までの)決算発表では、収益が市場予想を上回った。しかし、同社の純利益は、9月に欧州連合(EU)の裁判所が命じた巨額の追徴課税によって減少した。 アップルの第4四半期における収益は949億ドル(約14兆4000億円)で、アナリスト予想の945億ドル(約14兆3870億円)を上回った。EPS(1株あたり純利益)は、EUの巨額の追徴税を除くベースで1.64ドルで、市場予想の1.60ドルを上回った。しかし、追徴課税に絡む費用を含めるとEPSは0.97ドルだった。 同社の収益は、前年同期比で4%増加し、営業利益も10%増加したが、純利益は前年同期比36%減の147億3600万ドル(約2兆2400億円)に落ち込んだ。 第4四半期におけるiPhoneからの収益は462億ドル(約7兆335億円)で、市場予測の452億ドル(約6兆8812億円)を上回った。しかし、大中華圏からの収益は、6四半期連続で減少して150億ドル(約2兆2836億円)となり、市場予想の159億ドル(約2兆4200億円)を大きく下回った。 アップルの株価は、31日の引け後の時間外取引で2%下落した。 アップルが第4四半期に支払う所得税の額は、9月のEUの裁判所の判決を受けて102億ドル(約1兆5000億円)増加した。この税負担の上昇によって、同社の2024会計年度の純利益は、937億ドル(約14兆3000億円)となり、2020年以降で最低を記録した。 アップルは、世界で最も高い利益を上げているテクノロジー企業であり、同社が計上した純利益の930億ドル(約14兆1630億円)は、2位のマイクロソフトの880億ドル(約13兆4050億円)を上回っている。また、3位のアルファベットの純利益は740億ドル(約11兆2720億円)となっている。 アップルの時価総額は約3兆5000億ドル(約533兆円)で、同社は時価総額で世界最大の企業だが、収益の拡大は鈍化しており、ここ2年間の株価のパフォーマンスは、S&P500種株価指数を下回っている。しかし、一部のアナリストは、同社が28日に提供を開始した生成AI機能のApple IntelligenceがiPhoneの収益の再加速を促す可能性があると予測している。 12月末までの四半期におけるiPhoneの収益について、アナリスト予測の平均は724億ドル(約11兆275億円)とされており、2021年の最終四半期に記録した過去最高の716億ドル(約10兆9056億円)を上回ると予測されている。
Derek Saul