大泉洋、クドカン脚本作品に初出演! 山田太一原作『終りに見た街』約20年ぶりドラマ化・9月放送へ
<コメント全文>
■大泉洋(田宮太一・役) ――山田太一さんの原作を20年ぶりに宮藤官九郎さん脚本でドラマ化する本作ですが、出演オファーを受けた際のお気持ちをお聞かせください。 このオファーをいただいたのが、『こんにちは、母さん』(2023年)という映画で宮藤さんと役者として共演したすぐ後ぐらいだったのですが、機会があればいつか宮藤さん脚本ドラマに出たいなという思いもあったので、単純に嬉しかったです。しかも、山田太一さんの原作を宮藤さんが脚本にするという、天才同士のコラボ作品だったので、戦争というとても重たいテーマをどんな作品になるんだろうと楽しみでした。 ――実際に宮藤さんの脚本を読んでいかがでしたか? 40年前に書かれた山田さんの世界観に、現代のテイストをふんだんに盛り込みながら描いていて、さらに戦争というテーマでありながらも、宮藤さんならではのお笑いも果敢に盛り込んでいて、なんて面白い脚本なんだろうと大変感動いたしました。元々の山田さんが書いている本が面白いということも大きいと思います。物語の最後に驚く展開があるんですが、これが40年前に書かれているということにびっくりしますし、40年経った今の時代にこのラストが、より重くのしかかってくる気がします。 ――大泉さんが演じる田宮太一という役柄の印象を教えてください。 太一は家族と昭和19年にタイムスリップしてしまったけど、なかなか順応できないので、役に立たないお父さんなんですよね。役に立たないということに、劣等感を感じていくし、子どもたちからも手厳しく言われるんです。「もし自分が…」と、とにかく考えさせられるドラマになっています。自分と役を重ね合わせた時に、僕ほど役に立たない人はいないから、やっぱり僕も相当怒られて、家族からボコボコに言われるだろうなと思って怖かったですね。大学時代にアルバイトすらうまくいかなかった男ですから(笑)。一方で、太一は昭和19年の現実を受け入れざるを得ない瞬間が来た時に、ある行動をするわけですが、これだけ国自体が戦争に傾いている中で、とても勇気ある行動をとる人だなと思いました。 ――令和の今、この作品を届けることについてどう思いますか? この作品は過去に起きた戦争をただ再現して伝えるのではなく、現代に生きる人間が戦時下にタイムスリップしていくので、より生々しく感じられる。これまでも、1982年、2005年と2度ドラマ化がされていますが、1作目が昭和57年から約40年前に、2作目が平成17年から約60年前にタイムスリップして、そして3作目となる今回、令和6年の僕たちが80年前の昭和19年にタイムスリップしたらどうなるんだという。山田さんの書いた本自体が、その時代その時代でリメイクするのに大変適している。それぞれの時代の人が実際に戦時下に入っていくから、どの時代でも視聴者が戦争というものをよりリアルに考えられるし、いつの時代に作っても考えさせられるドラマだなと思います。さらに本作では、宮藤さんの脚本だからこそ見ようかなと、若い人を中心にそう思う人も多いでしょうから、それも本当に意義があると思います。 戦争というものをもっとリアルに考えなくてはいけない時代の中で、この作品を通して僕たちが戦争に対してどう考えていくのかということを、改めて突きつけられる部分があるなと思います。 ――視聴者のみなさまにメッセージをお願いします。 いわゆる辛い戦争の歴史を振り返る再現ドラマではなく、現代人がその時代にタイムスリップした時にどうなっていくのかという作品で、宮藤さんの世界ならではの笑いもありますし、見やすいドラマだと思います。最後には非常に考えさせられる展開があり、何かしら「戦争」について考えるきっかけになる作品だと思うので、ぜひ見ていただけたらなと思います。