晩秋から冬はバラの大苗が流通。大苗から始めるつるバラ
『趣味の園芸』で連載中の「姫野流 つるバラを楽しむ12章」、第8回のテーマは「大苗を植える」。晩秋から冬も「大苗」を入手してつるバラの栽培を始めることができます。大苗は枝を短く切って出荷されるため、開花と花後剪定を繰り返しながら枝を伸ばしていく返り咲き性の強いつるバラに特におすすめしています。11月号より、一部抜粋してお届けします。 みんなのつるバラの写真
枝と根を切って秋冬に流通するバラの「大苗」
晩秋から冬にかけて、園芸店やホームセンターなどの店頭でも、枝を25cm程度に切り詰めた苗木を見かけるようになります。 これらの苗木は一般に「大苗」と呼ばれ、バラ苗の流通のメインとなっています。 10月号でご紹介した「鉢苗」と「大苗」の大きな違いは、鉢で育てて根鉢のできている鉢苗に対し、大苗は圃場(畑)に植えた株を販売用に掘り上げ、枝葉を落として移植のような状態で出荷されるため、白い細かい根がない、または少ないことです。 つぎ木をして1年足らずのまだまだ若い苗木ですので、植えつけ時に注意が必要ですが、圃場で育成されることで鉢苗より枝が太く仕上がっており、この点では頼もしく思えます。 つるバラの場合、大苗は一季咲き性よりも返り咲き性のほうがメリットの大きい苗木です。もともと枝を短く切らない一季咲き性は、新苗か、枝を長く伸ばした鉢苗(長尺苗)のほうがおすすめです。 ですが、大苗は流通量が多く、欲しかった品種が大苗で販売されていたり、大苗でしか流通しない海外の最新品種などに運よく出会えた場合は、そのご縁を大切にされるとよいと思います。 ただし、冬期に土壌が凍結する地域では、白い根がない状態の大苗を晩秋以降に植えつけると寒さの害を受けやすく、春の新苗を待つか、冷蔵保管した大苗を春に送ってもらうなどの方法をおすすめします。 晩秋から冬にかけて大苗の出荷がピークとなります。11月号では、大苗の特徴、メリットとデメリット、植えつけ方のコツなどをお伝えいたします。 ●連載「姫野流 つるバラを楽しむ12章」 八ヶ岳でバラ農場を営む姫野由紀さんが、1年間の連載でつるバラの基礎知識、広さや高さに合った品種の選び方、美しく咲かせる栽培のコツ、思いどおりの風景をつくる仕立て方などをお伝えしていきます。 姫野由紀(ひめの・ゆき) バラ栽培家 1972年、兵庫県生まれ。10歳からバラ栽培を始める。一般企業勤務を経て故村田晴夫氏のばら園のスタッフに。2012年より八ヶ岳の農場を引き継ぎ、約1000品種のバラの苗木の生産・販売、品種選びや栽培管理のアドバイスを行う。つるバラやオールドローズをはじめ古花、名花にも造詣が深い。 『趣味の園芸』2024年11月号 姫野流 つるバラを楽しむ12章「第八章 大苗を植える」より