親露派「ハクティビスト」が日本を標的に攻撃呼びかけ 衆院選投開票日にも注意
ウクライナ支援国に対するサイバー攻撃を行う親ロシア派の「ハクティビスト」が、日本への攻撃も活発化させている。衆院選公示日に、自民党公式ホームページ(HP)が閲覧できなくなり、グループが攻撃したとの声明を出した。ハクティビスト同士が連携して攻撃を繰り返す傾向もあり、27日の衆院選投開票日の攻撃も懸念されている。 【画像】親ロシア派ハッカー集団「キルネット」が2022年9月上旬に投稿した「日本政府に宣戦布告する」との動画画面 ■自民党にDDoS攻撃、犯行声明 自民党のHPが狙われたのは公示日の15日午後4時半ごろだった。大量のデータ送信でシステム障害を引き起こす「DDoS(ディードス)攻撃」が仕掛けられたとみられ、衆院選の特設サイトにもつながるトップページが表示されない状態に陥った。 復旧までには、約5時間を要したという。その後、ハクティビストグループ「NoName(ノーネーム)057(16)」が交流サイト(SNS)上で犯行声明を出した。 ハクティビストは、オンライン上でコンピューターに攻撃を加えるハッカーと、活動家を意味する「アクティビスト」を掛け合わせた造語。ロシアによるウクライナ侵略が始まって以降、親ロシア派のハクティビストがウクライナや支持国へのサイバー攻撃を活発化させている。 ■日商、日弁連、造船企業や銀行も標的 トレンドマイクロの調査によると、このNoName057(16)は近年、活発な活動がみられる。DDoS攻撃を中心にし、攻撃を仕掛けることができるソフトなどのツールを支援者にも配布し、支持者に攻撃を協力させている。 日本への攻撃は9月18日以降、断続的に行っているとみられる。これまでに自らの攻撃だと報告しているのは、自民のほか、日本商工会議所や日本弁護士連合会、北海道に関連する造船企業や青森の銀行などがある。 ■日米合同軍事演習への抗議も トレンドマイクロによると、今月下旬に自衛隊と米軍がロシア国境付近の北海道などで実施予定の合同軍事演習についての抗議のために日本を標的にしているという。 また、別のハクティビストグループも日本への攻撃を表明。ただこのグループは、攻撃表明した企業が実際は被害を受けていないケースも確認されるなど、声明の信憑性は高くない。トレンドマイクロは、衆院選の投開票日も狙われる可能性もあるとして、注意を呼びかけている。(大渡美咲)
◆情報セキュリティー会社、トレンドマイクロの岡本勝之氏の話「ハクティビストは自分たちの主張を広めることが目的だ。実際に攻撃しているか信用できない部分もあり、投稿を拡散しない方がよい。万が一、標的とされた場合でも被害を低減させるための対策が必要だ。サービスを提供していない国のIPアドレスからのアクセスを制限したり、サーバーを分散して攻撃を緩和したりするなど、事前に対策を講じておくことが重要となる」