もしもザポロジエ原発が爆発したら…最悪で「死者数万人、2百万人避難」 爆発物設置?高まる緊張
ザポロジエ原発で事故が起きた場合の被害の程度について、事故の発生様態や雨や風などの気象条件によって左右され、「誰も正確には予想できない」とする一方、同原発原子炉が強固なコンクリート製建屋で囲われ、大半の炉が冷温状態にあり、東京電力福島第1原発事故を教訓に事故防止のための複数の設備が導入されたことを考慮すると、砲弾が偶然着弾するなど、意図しない攻撃で原発が深刻な被害を受ける可能性は低いと指摘。 しかし、もし同原発を占拠しているロシア軍が放射能汚染を起こすことを意図して、爆発物を使った破壊工作を行うなら、広大な領域が汚染されうると語った。 原子力利用に関する調査、政策提言を行っている日本のNPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は事故想定について「使用済み燃料プールで火災などが発生すれば、大量の放射性物質が外部に拡散し、ルーマニアやモルドバ、トルコなど周辺国に汚染が広がる可能性はある」とする。
事故が起きればロシアも大きな被害を受けることから、故意に原発を破壊することは考えにくいとしながら、意図しない攻撃がエスカレートし、大きな事故につながる危険性は否定できないと語った。 × × × 【ザポロジエ原発】ウクライナ南部ザポロジエ州エネルゴダールに位置する原発。IAEAなどによると加圧水型軽水炉が計6基あり、うち5基は旧ソ連時代の1984~89年に、残る1基はソ連崩壊後の95年に運転を開始した。出力はいずれも100万キロワット。 ロシア軍は2022年3月4日に同原発を攻撃し占拠。同年9月には事故の危険から営業運転を停止した。IAEAによると今年7月7日現在、6基のうち5基は冷温停止しているが、1基は施設内の電力供給などのため極低出力で運転している。現在は、IAEAの専門家が常駐している。