もしもザポロジエ原発が爆発したら…最悪で「死者数万人、2百万人避難」 爆発物設置?高まる緊張
同管理庁を傘下に置くウクライナ環境保護・天然資源省顧問で、被害想定を発表したララ・タラパキナ氏は「被害予想は概算だが、規模はこのようなものになる」と強調した。 同管理庁は、被害想定はチェルノブイリ原発事故被害を基に算定したとしている。具体的にはザポロジエ原発の6基の原子炉と使用済み核燃料貯蔵施設にある核燃料集合体の総数が、1986年に爆発・炎上したチェルノブイリ原発4号機の集合体数の9~10倍に当たることから、被害規模も10倍になると予想、報告を策定したようだ。 ザポロジエ原発の原子炉6基と貯蔵施設全てで一斉にチェルノブイリ原発並みの事故、爆発が起きることは想定しづらいが、最悪のケースとして被害はここまで拡大することになるとみられる。 ▽40カ国、10億人に影響予想も 一方、ザポロジエ原発を含むウクライナ全土の原発を運営する国営企業「エネルゴアトム」は22年8月28日、原子力規制検査庁の専門家の分析として、29日に予想される気象条件を基にしたザポロジエ原発事故時の放射能汚染地域を公表。
汚染はザポロジエ州などウクライナ南部のみならず、ロシアの占領地である東部ドンバス地域、クリミア半島、ロシアの南西部まで達すると予測した。 また、同庁のグリゴリー・プラチコフ元長官はウクライナ民放テレビ「1+1」に対し、最悪の場合、事故の影響は世界40カ国、10億人の住民に及ぶと言明。 同テレビによると、ウクライナ気象庁が22年9月初めの気象条件を基に行った試算によると、事故後に発生する「放射能の雲」はウクライナ南部からクリミア半島、黒海を経て、トルコ、ギリシャ、ブルガリア、モルドバ、ルーマニアなど近隣諸国に達し、広範囲の地域を汚染する可能性がある。 こうした予測は、欧州有数の穀倉地帯を有するウクライナや、多くの国が隣接する黒海が汚染されることによる被害には触れていないが、事故による経済的な損失も巨大なものとなることが予想される。 ▽ロシア軍の破壊工作 米ハーバード大ケネディ・スクール教授で、核エネルギー・核安全保障が専門のマシュー・バン氏は、「終末時計」計測で有名な米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」(電子版、7月6日)に寄稿した。