大阪府河南町の文化や歴史風土から発想する「河南料理」、イタリア料理店「ABITACOLO」で提供スタート
2018年5月のオープン以来、大阪府河南町と世界の“交錯点”を目指して活動するABITACOLOは、河南町の文化や歴史、風土から発想した「河南料理」を提案する。 【写真】水茄子と醗酵ブルーベリー 今回の企画について担当者に話を聞いた。 ーー「河南料理」の意図や狙いは? 「河南料理」という料理の考えにいたったきっかけはコロナ禍でした。創業当時は河南町の食材を使ったイタリア料理を作っていたのですが、少しずつ違和感が生まれてきました。河南町という歴史や風土の豊かな地域の食材を使いながら、料理の着地点はイタリア料理になっているのがもったいないような気がしてきたのです。そんななか訪れたパンデミックにより飲食業界は営業活動自体が難しくなり、自粛期間というある意味これまでの営業や自身の料理と向き合う時間を持つことができました。 四季折々の食材や南河内の食文化などを織り交ぜて新しい料理に着地させ、河南町を料理で表現するということに挑戦しています。その後コロナ禍も落ち着きを見せ、営業を重ねるなかでゆっくりではありますが体系的な考え方も確立され、「河南料理」が形になってきました。河南町の役場や道の駅などとの関係も深くなり、地域活性化の観点からも意味合いが深くなっています。 ーー目的やターゲットは? 多くの人が集まる日本の第二都市の中心から河南町の魅力を発信し、注目の集まりにくい都市近郊の田舎町に新しい価値の創造をすることが目的です。 ターゲットとしては大阪在住の方はもちろんですが、大阪府外から来られた観光客です。大阪に来たなら大阪のものを食べて欲しい。食を通して大阪の文化や歴史に興味を持ってほしいと思っています。年代的には、時間的ゆとりのある40代~60代を想定しています。 ーー「河南料理」のイチオシ、目玉となるものは? 使用する野菜は100%河南町産。多数のなにわ伝統野菜、「喜味の鶏子」という2019年G20サミットでも使用された河南町産平飼い有精卵も使用し、「CHEF-1GP 2024 ジャンルレス部門TOP4」になったアビタコロのシェフが調理します。 ーーユーザーへのメッセージは? なかなか知っている方の少ない町ですが、少しでも共感してもらえるとうれしいです。また、アビタコロの活動も応援してもらえるとうれしいです。 ■大阪府河南町の文化や歴史風土から発想する「河南料理」 かつてはシルクロードの終着点だったといわれる飛鳥。近つ飛鳥(ちかつあすか)の地では世界の食文化と地元食材が融合していた。そんな可能性に思いをはせ、河南町の野菜を主軸に日本の食材、アジアや世界のスパイスなどを組み合わせ、今までにない、でも昔からそこにあったそんな料理を作る。 ■<河南料理 10品のディナーコース> 処暑 次候 天地始粛 ・ABIサンド ・水茄子と醗酵ブルーベリー ・玉造黒門越瓜とさいぼし ・千両茄子と鳥飼茄子と水蛸 ・無花果とメロンと蝦夷鹿 ・ピーマンと青葱と湯葉と鱧 ・自家製粉石臼挽き焙煎小麦 ・バターナッツと蝦夷豚 油かすとアカヤマドリ ・勝間南瓜とトマトと能勢黒牛 ・バオバブとパイナップル ・珈琲とバナナ 地方創生と言って僻地の農村が取り上げられ注目されているが、都市近郊の農村も状況は変わらない。都市近郊であることの強みを活かした魅力の発信方法を提案していく。 ■地域活性に向けた政府の動き 2014年に政府は、全国各地の自治体で地域活性化を促進するために「まち・ひと・しごと創生法」案を国会に提出し議決、執行。これにより“地方創生”という言葉は広く認知され、地域活性化に注目が集まった。 現在は「まち・ひと・しごと創生法」は廃止されたが、政府による地方活性化への取り組みは「まち・ひと・しごと創生総合戦略」「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」という形で継続している。 地域経済の活性化のほかに、今後日本が直面する少子高齢化への対策や首都圏への人口集中を是正することを目的に、全国各地の自治体は地域活性化に取り組んでいる。 また政府も、2015年に国連で採択された世界共通の目標であるSDGsの推進や、Society 5.0と呼ばれる新しいシステムの社会の実現に向けた取り組みとして、助成金をはじめとした地域活性化への積極的な支援を行っている。 ※引用:SDGs compassより ■地域活性化の一助に ABITACOLOの代表・植松さんは、自身の故郷である河南町の少子高齢化や人口の過疎化を目の当たりにし、地域経済や地域住民の活動の活発化に貢献したいとの思いから、大阪市から河南町の魅力を発信し続けてきた。その活動のひとつとして、新しい料理ジャンル「河南料理」を生み出した。 河南町は古墳時代から続く歴史のある土地であり、近つ飛鳥と呼ばれている。かつてシルクロードという文化やモノの交易路があり、それはローマから始まって中国の長安や洛陽まで続き、遣唐使や遣隋使などによって飛鳥までもたらされていた。そのことから、シルクロードの終着点は飛鳥であったと考えることができる。 当時、世界中の素晴らしい文化が入ってきた飛鳥の地で世界と日本の文化の融合があった。この考えを基に、世界中の食材や文化と近つ飛鳥(河南町)の食材や文化を融合させれば、今までにない、でも昔からそこにあった、そんな料理が生まれるのではと発想。これまでになかった「河南料理」を通して、新たな河南町の魅力の発信していく。 ■ABITACOLO代表・植松将太さんのコメント 創業から7年、地元の河南町の魅力を知ってもらえるように活動を続けてきました。お客様からは『そんなに地元愛が強いのすごいね』とか、『なんでそんなに河南町のことPRしたいの』っという声をいただきます。正直なところ、自分自身昔はそこまで地元愛が強い方ではありませんでした。目の前の環境が当たり前だと思っていたからです。地元を離れていろいろな環境で仕事をしたり生活したりするなかで、かつての当たり前は特別なものだったと気付いたんです。たぶんずっと河南町に住んでいたら気付くことはなかったかも知れません。地元を離れた余所者として、外から魅力を伝え、地元の方の心の過疎化を防ぎ、地域の活力を生む一助になれればと思っています。 ■「ABITACOLO」店舗概要 店名:ABITACOLO(アビタコロ) 住所:大阪府大阪市中央区道修町1-3-3 戎道修町ビル1、2階 電話:06-7710-6616 営業時間:12時~13時30分(LO)、18時~20時30分(LO) 定休日:火曜 席数:1階6席、2階17席 アクセス:大阪市営地下鉄堺筋線北浜駅から徒歩3分 ※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。