REIKOとJUNON、親密な2人だからこそのグルーヴ / 羽生まゐご新曲「ぼくのかみさま」公開に喜びの声
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで11月29日から12月5日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。 【動画はこちら】REIKOとJUNONの圧倒的な歌声を聴く(そのほかの記事中で言及しているMVも) 文 / 真貝聡 ■ まずはこの週の初登場曲の振り返りから 今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、10位にNumber_iの「HIRAKEGOMA」オフィシャルビジュアライザーが登場した。12月2日に公開されてから10日間で320万回再生を突破し、破竹の勢いを見せている。 そのほか15位にKing Gnuの約1年ぶりとなる新曲「ねっこ」がランクインした。同曲は神木隆之介が主演を務める日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」の主題歌として書き下ろされたバラードナンバー。楽曲が放つ透明感と優しい雰囲気が、油画で描かれたような味わい深いMVと見事にマッチしている。 20位にはNiziUの「AlwayS」が登場した。Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が作詞・作曲・プロデュースをした楽曲で、歌割りやレコーディングのディレクションにも関わった大森は「みんな本当に歌が上手だった」と彼女たちの歌唱力を絶賛した。 29位にランクインしたのは不破湊の「一旦ステイ TONIGHT」だ。ホストクラブのコールを思わせる歌が盛り込まれた、不破湊の楽曲で最もテンションが高い1曲となっている。 36位にはBE:FIRSTの「Sailing」が登場した。こちらはテレビアニメ「SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編」のエンディング主題歌。SOTA、SHUNTO、RYUHEIも作詞に参加した歌詞だけでなく、“陽気な音楽海賊団BE:FIRST”を表現したMVからも彼らの「ONE PIECE」愛が感じられる。 今をときめくダンスグループの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップした。 ■ Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」 ※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場1位 今週1位に輝いたMrs. GREEN APPLEの「ビターバカンス」は、映画「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~」の主題歌として書き下ろされた楽曲。11月29日にMVが公開されてから2週間で590万再生を達成し、大きな注目を浴びている。作詞作曲をした大森元貴は、中学生の頃から原作マンガ「聖☆おにいさん」の熱心なファンで、新刊が出るたびに購入して読んでいたという。そんな彼は楽曲に込めた思いについて、映画のオフィシャルサイトで以下のようにコメントしている。 「この度お話をいただき、すごく運命的な何かを勝手に感じております。ブッダとイエスの癒され日常から我々も学ぶものがあり、根を詰めがちな人々ですが少しでもホッと、肩の力が抜ける瞬間があるといいのだろうと。そういう1番大切なバカらしさみたいなものを曲にしてみました」 「息が詰まるような日々が続いたら / 休暇を取ればいい」で始まり、「息が詰まるような日々が続いたら / ちょっぴり休めばいい / 休めばいい 休んじゃえばいい」で締まるこの曲は、日々の忙しい業務に追われている社会人の肩の荷を下ろして、明るい方向へ導くような歌詞が印象的だ。MVにはメンバー3人のほか、映画でW主演を務める松山ケンイチと染谷将太も出演。楽曲と同様に映像も、自然と元気が湧いてくるような陽のエネルギーがあふれている。 ■ REIKO「First Christmas feat. JUNON(BE:FIRST)」 ※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場56位 REIKOが同じBMSG所属の盟友・ JUNON(BE:FIRST)をフィーチャリングゲストに迎えた楽曲「First Christmas feat. JUNON(BE:FIRST)」。今作は恋人と初めて過ごすクリスマスのワクワクと幸福感があふれる王道のクリスマスソングとなっている。 作詞作曲した清水翔太はこの曲について「以前作曲したクリスマスソングを、REIKOさんとJUNONさんに歌っていただく事になりました。 聴いてくださる方はもちろん、クリスマスという素敵な日にも、そしてどんな街の喧騒にも、少しでも冬という季節に彩りを添えられたらと思います」とコメント。その言葉の通り、誰もが記憶の中にある12月の景色が、2人の抜群の歌唱力によって表現されている。 12月5日にinterfmで放送されたREIKOのラジオ番組「REIKO So far, so good.」にJUNONが出演した際、JUNONは「クリスマスソングをやりたいっていうのは、社長(SKY-HI)にも前から言ったりしていて。だけど、REIKO経由で清水翔太さんの作詞作曲というのは、予想外のところから来たから結構な衝撃を受けましたね」とオファーを受けた心境を話している。また番組内では、REIKOが「レコーディングでJUNONくんがすごく生き生きしてた」と話すと、それを受けてJUNONが「グループでやるとさ、長く歌う部分がないわけじゃん? 曲調もバラードだし、これだけ自分に歌う場所を与えてもらえているから、生き生きするよね」とうれしそうに語るひと幕もあった。REIKOはBMSGのアーティストで、唯一JUNONの実家に泊まったことがあるほど親しい関係。「First Christmas」には、この親密な2人だからこそ生まれるグルーヴが表れている。 ■ 羽生まゐご「ぼくのかみさま」 ※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場82位 「ぼくのかみさま」は羽生まゐごがスマートフォン向けゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」のために書き下ろした楽曲だ。11月28日に「プロジェクトセカイ」YouTube公式チャンネルで鏡音レンとワンダーランズ×ショウタイムが歌っているMVが公開され、羽生まゐごのYouTubeチャンネルではv flower版のMVがそれぞれ公開された。 羽生まゐごがオリジナル曲を発表するのは、2021年5月にリリースされたメジャーデビュー曲「オノマトペ(feat. りりあ。)」以来。その間にも、2022年2月に花譜×羽生まゐご名義で「わたしの線香」を発表したり、2023年9月にリリースされたなるみや「可愛いあの子が気にゐらない」の編曲を手がけたり、5月に発売されたDaokoのアルバム「Slash-&-Burn」に参加したりと作家活動はしていたが、やはり羽生まゐごのオリジナル曲は、彼のリスナーにとって特別なのだろう。YouTubeのコメント欄には「羽生まゐごさんのflowerがまた人生で聴けるの、本当に生きててよかった」「羽生まゐごさんの曲やっぱりとても好き……」と歓喜するコメントが多く書き込まれている。 和を感じるメロディやサウンドが印象に残るこの楽曲。「かみさまは覚えてますか / 僕の声が聞こえますか」と“かみさま”に呼びかける描写から始まり、「行かなくちゃ、ぼくのかみさま」と別れを告げる言葉で締めくくられる歌詞は、寂しさと旅立ちを描いたような、どこか哀愁を感じる内容になっている。MVはカラスのような姿の人物と赤い蝶を描いた1枚絵の映像で、ファンの間では「神社にいるカラスは『神様の使い』と言われている」「神社で蝶が目の前を横切るのは『出会いのチャンス』という意味があるらしい」など、このイラストが意味するものについての考察が盛り上がっている。 ■ 真貝聡 ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。