ビットコインL2「スタックス(STX)」、取引速度とファイナリティ向上のアップグレード完了
Stacksで取引速度が10分から5秒に短縮
スマートコントラクト導入のビットコイン(BTC)レイヤー2(L2)ネットワーク「スタックス(Stacks)」が、トランザクション速度とファイナリティを向上させる「ナカモトアップグレード(Nakamoto upgrade)」に更新された。スタックス財団(Stacks Foundation)が10月28日発表した。 このアップグレードの主な特徴に、ブロックチェーン上の取引が迅速かつ不可逆的に処理される、sBTC(BTCと1:1連動するトークン)の技術基盤の強化、「スタックス」採用のコンセンサスアルゴリズム「Proof-of-Transfer(PoX)」に関するマイナーMEV (最大抽出可能価値)の機会軽減、チェーンの再編成に対する堅牢性の強化が挙げられている。 具体的には、高速ブロック生成により「スタックス」のトランザクション時間が約10分から約5秒に短縮されたとのこと。また、ビットコインのMEV問題が緩和され、より公平なマイニングプロセスへ改善されたという。従来の「スタックス」では、ビットコインマイナーが他の「スタックス」マイナーのトランザクションを検閲して利益を取得できた。しかし今回のアップグレードにより、マイナーは優先した取引の操作が難しくなり、ネットワークの公平性と信頼性が向上したとのこと。 さらにsBTCは、「スタックス」上でBTCを直接プログラム可能にし、sBTCを用いたスマートコントラクトや分散型アプリケーション(dApps)がビットコイン上で構築できるようになるという。なおsBTCは今後4週間から6週間以内にリリースされるとのこと。 ちなみにMEVとは、ブロックチェーンのマイナーまたはバリデーターがブロックを生成する過程でトランザクションの組み込み、除外、順序の変更を行うことで、通常のブロック報酬やガス報酬とは別に得られる最大の利益のことだ。MEVには様々な種類があり、高速な清算などユーザーに良い影響を与えるものもあれば、サンドイッチボットなどのユーザーに悪い影響を与えるものもある。 「ナカモトアップグレード」ではさらなる最適化に向け、スマートコントラクトの帯域幅増加とトランザクション遅延を軽減する「テニュアエクステンド(Tenure Extend)」が今後数週間以内にリリースされる予定とのこと。これによりブロック処理のスムーズさが向上し、予測可能なブロック生成を確保するため改善につながるという。 今年4月に「ナカモトアップグレード」はテスト段階となる「インスタンス化」を経て、同年5月にメインネットの「アクティベーション」を迎えてローンチされる予定だった。しかし4月にこのアップグレードは、ネットワークの署名機能を強化するため開発延長が決定された。 「スタックス」はビットコインを基盤とし、L2でスマートコントラクトや分散型アプリケーション(dApps)の実行を可能にするブロックチェーン。独自のコンセンサスアルゴリズムである「PoX」を使用し、「スタックス」のブロックハッシュだけをビットコインに記録することで、ビットコインの安全性を活かしながらブロックスペースの無駄を抑えている。 また「スタックス」の独自トークン「STX」を一時的にロックし、ネットワークのセキュリティとコンセンサスをサポートすることで、報酬としてBTCの獲得が可能だ。
一本寿和(幻冬舎 あたらしい経済)