バルセロナが今季好調! 林陵平がその理由を深掘り解説「中央から攻撃できる」「むしろ守備がいい」
【面白いプレッシャーのかけ方】 次に守備の話です。ここまで攻撃の説明をしてすごく強いなと思われたでしょうが、今のバルセロナの好調の要因として僕が思うのは、守備です。 相手がボールを持った時の守備面もしっかり整備されていて、相手によって守り方を変えているんです。例えば4-4-2や4-2-3-1のチームのDFラインに対して、ダニ・オルモとレバンドフスキが前に出て、サイドをラフィーニャとヤマルが抑えるような4-2-4になるのは結構ある形。 ところがバルセロナが面白いのは、ダニ・オルモとレバンドフスキのふたりが相手の2ボランチの側で彼らへのパスコースを塞いでいるように見る。そしてふたりのCBに対しては、ラフィーニャとヤマルが外からプレッシャーをかけるんです。この形はなかなか見ないので、すごく面白い守備のやり方だなと思います。 相手のSBは結構フリーになるんですけど、ラフィーニャとヤマルが外切りでパスコースを消しながらプレッシャーをかけていくので、相手のCBはなかなかパスを出せません。では中から前進となると、ボランチへのパスコースはダニ・オルモとレバンドフスキが切っているので、出口を失ってしまう。 もしSBに出されたとしても、そこはバルデとクンデが縦方向にスライドしてプレッシャーをかけることになっています。では、そうなった時に空いてしまう相手のウイングをどう捕まえるのかというと、そこにはボランチの選手がスライドして守る。 こうして守備の仕組みが作られていて、すごくしっかり整備されています。
【相手によって守り方を自在に変える】 では、違うビルドアップの形の相手、例えば第4節のジローナ戦ではどう守ったか。ジローナは4-2-3-1の基本陣形のところから左SBがかなり中に入ってきて、後ろが3枚気味の3-2-5のような形で、うまくビルドアップしてくるチームでした。 これに対してバルセロナは、相手の後ろ3枚に対して、前の3人、ヤマル、レバンドフスキ、ラフィーニャを当てました。そうなると相手の2ボランチに対してダニ・オルモひとりでは見られないので、ペドリが出ていってふたりで捕まえる。それで、カサドが相手のシャドーのひとりを捕まえて、もうひとりをどうするかなと思ったら、右SBのクンデを出して捕まえた。こうなるとバルセロナの最終ラインはそれぞれ1対1の数的同数になってしまうんですが、そのようなはめ方をしました。 このように、相手によって自分たちのプレッシャーかけ方も変えながら守る。本当に自在に変えている。このあたりの整備がすばらしいなと思います。 前線の選手たちも(パスコースに)規制をかけるというよりも、プレッシャーをかけにいったら、もうボールを奪いきろうとしています。大体前線の選手規制だけかけて、後ろで取ればいいでしょとなるところなんですが。でも、こうして一人ひとりのボールホルダーに対してプレッシャーがしっかりかかっているので、後ろの選手たちも相手を掴みやすいというシーンが見られています。 本当に守備がいいんです。「むしろバルセロナ、守備がいいんだよ」というところが、今の強みだと思います。
text by Sportiva