果たして西野流の急造3バックは機能するのか?
そして、最後の3つ目がフレキシブルさだ。たとえば相手が途中から1トップに陣形を変えれば、3バックで対峙する必要はない。2人のセンターバックで十分に対応できると、長谷部は状況に応じてリベロとボランチの2役を演じられると自信をのぞかせた。 「そうなれば、自分がひとつ前(のボランチ)に出ちゃってもいいと思う。そういうフレキシブルさは自分の強みとして、感覚を生かしながらやっていきたい」 非公開練習となった28日および29日には紅白戦などが実施されたはずだが、実際の試合になれば課題や問題点も顔をのぞかせるだろう。ガーナ相手に失点するとしても、原因をはっきりと見極めることができれば、コロンビア戦へ向けて習熟させていくための糧になる。 「サッカーとは突き詰めればどこまでもいくスポーツなので、これをもって完成というのはない。1試合を終えれば、次をよりよくするためにやっていくのがプロだと思う」 ガーナ戦の先をしっかりと見つめる吉田は、サウサンプトンでは3バックの真ん中を務めた経験もある。実践するのが難しいと理解しているからこそ、ピッチを離れたところ、たとえば食事をしながらでも必要ならばどんどん話し合っていると明かした。そのうえで、3バックをこう位置づけている。 「勝つ可能性を高めるための判断を監督が下した、ということだと思います」 与えられた時間があまりに少ない状況も、集中力を高める要素になる。はまれば強力な武器になるというイメージをチーム全員で共有しながら、特に生命線を司る最終ラインの3人は、西野流3バックを機能させる「3ヵ条」を貪欲に、そして急ピッチで突き詰めていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)