果たして西野流の急造3バックは機能するのか?
練習では主力組と見られるグループが『3‐4‐2‐1』の形でプレー。3バックは左から槙野、長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)、吉田麻也(サウサンプトン)が並ぶことが多かった。この形で攻撃的な姿勢を貫くには、最終ラインの3人に「3ヵ条」が求められる。 1つ目は相手ボール時に3人が左右へのスライドを絶えず繰り返し、ウイングバックと呼ばれる『4』の左右の選手が最終ラインに下がってしまう状況を極力防ぐことだ。 「5バックにならないように、ウイングバックの選手たちをフォローしながら押し上げたい。そうすれば攻撃の部分で中盤に人数を割けると思うし、そこで数的優位を生かして崩していけるので」 フランクフルトでリベロを務め、34歳にして新境地を開いたと高く評価されている長谷部がこう指摘すれば、槙野は自身と右に入る吉田がキーマンになると言葉に力を込める。 「僕と吉田選手が入ったポジションはかなりの運動量を求められ、なおかつ頭を使いながらプレーしなければいけないと思っています」 レッズやサンフレッチェ広島が導入していた「可変システム」で、槙野はマイボールになるとそれまでの3バックの左ストッパーから、ボランチの一枚が下がって4バックへ様変わりした左サイドバックへシフト。積極果敢に攻め上がる役割を担ったが、西野流3バックでは守備に重心を置く。 「代表で求められる3バックの仕事は、攻撃よりも守備のところだと思っています。僕がボールをもって前線へ駆けあがることはありません」 ただ、いくら机上で計算はできても、相手がいる状況ではどうしても自陣にブロックを形成し、耐えざるを得ない時間帯も訪れる。そこで求められるのが、2つ目のリベロの判断力となる。押し込まれたなかで相手にスペースを与えないように、ブロックの縦幅をコンパクトに保つ必要がある。 「所属クラブで(リベロを)務めているだけに、ラインをひとつ、ふたつ高く設定するやり方や指示のクオリティーの高さには経験を感じました。一緒にプレーしていて非常に頼もしく感じました」 槙野が全幅の信頼を寄せた長谷部は、現地時間5月19日のドイツカップ決勝でロドリゲス、グループリーグ最終戦で対峙するポーランド代表のエース、ロベルト・レヴァンドフスキを擁するバイエルンを撃破。30年ぶりのタイトルを手土産に帰国し、心技体のすべてで充実して代表に合流したことも、西野監督が描く3バックへのチャレンジを後押ししたはずだ。