背水と平常 対照的 手法異なる選挙運動 衆院埼玉6区(鴻巣市、上尾市、桶川市、北本市)
埼玉6区は旧川里町が12区から編入されて鴻巣市の全域がまとまり、伊奈町が外れた。鴻巣市のほか、上尾、桶川、北本のJR高崎線沿線4市による区割りに再編。維新の新人細谷美恵子(64)、無所属前職の中根一幸(55)、立民前職の大島敦(67)、共産新人の秋山もえ(48)の4人が立候補している。 岩槻移り、構図変動 地盤の優位薄れ伯仲 衆院選埼玉1区(さいたま市浦和、緑、見沼区)
中根と大島は7度目の対決。過去6回は大島の5勝で、民主(当時)が自民に政権を奪還された2012年で比例復活したのを除き、大島が全て制している。両者は今回、対照的な立場で臨む。 ■人生かけ初心戻る 自民旧安倍派の中根は、派閥の裏金事件で1860万円の政治資金収支報告書不記載が発覚し、党の役職停止6カ月の処分を受けた。逆風で通算6期目を目指すことになったが、非公認も決定。関係議員の処遇見通しは二転三転し、公認されないとの連絡は解散した9日朝に受けたという。中根は「公認候補として準備していたので、ショックだった」と振り返る。 中根が掲げたテーマは、「初心にかえる」と「人生をかける」。公示日の15日、JR上尾駅東口で行った出陣式には、自転車に乗って登場した。25歳で鴻巣市議選に初当選した時、行っていた活動スタイルだ。選挙期間中は可能な限り、選挙区内を自転車で巡る予定。「もう一度、一人一人の有権者と同じ目線で話したい」と覚悟を示す。
無所属とはいえ、事実上の自民候補だ。4市を北上しながら実施した出陣式には、自民の県議や各市議らが顔をそろえた。陣営幹部のある県議は「立候補を断念する選択肢もあったが、本人が強い決意を固めていた。党の埼玉6区支部長であることは変わらない」と全面支援を誓う。 だが、過去5期のうち4期は比例での当選だった。無所属のため、今回は選挙区で勝つしかない。連立政権を組む公明の推薦もなく、友党の組織票は期待できない公算。陣営側は「地元の要望をダイレクトに国へ働きかけられる人材を失ってはならない」と、危機感を募らせている。 ■普段通り活動貫く 9期連続当選に挑む大島は、公示後も日常行っている朝の駅立ちから活動を始める。「24年間ずっと続けてきたこと。駅を利用する人の顔を見ていると、世の中の雰囲気が分かってくる」と大島。ベテラン政治家は、地域に根を下ろしたスタイルを貫く。 過去8回の当選のうち、7回は選挙区を制した。政党色を打ち出すよりも自身の政策を説き、幅広い支持層は「大島党」とも評される。ただ、陣営幹部は「70代以上の人が中心」と、若い世代への浸透が課題と認識。長年議席を争ってきた中根の“失点”にも気を緩めることはない。