衆院選で石破首相ら第一声、警備も厳戒 金属探知機・飲料チェック…安倍氏銃撃事件受け
衆院選は15日に公示され、石破茂首相（自民党総裁）は福島県内で第一声を上げた。令和4年の安倍晋三元首相銃撃事件、5年の岸田文雄前首相襲撃事件を受け、会場には金属探知機が導入されるなど、厳重な警備態勢が敷かれた。 【写真】銃撃された安倍元首相が最後に握っていた傷のついたマイク ■検査強化で長蛇の列 首相は午前10時半過ぎ、東日本大震災で被災した福島県いわき市の小名浜港で演説した。会場は首相到着の1時間ほど前から人だかりができ、周辺では多数のスーツ姿の警察官らが警戒。柵で囲われた聴衆スペースに入るには手荷物検査と金属探知機による検査が必要で、長蛇の列ができた。 ペットボトルの飲料を飲んでみせるよう求められた人もおり、「ガソリンとかの危険物ではないことを確認するためです」と警備員らの声が飛び交った。 首相らの登壇場所は埠頭で海を背に配置された。車道や歩道からはかなり距離をとり、斜め後方の低層の建物の屋上でも警察官があたりを監視していた。会場には、他県警からの応援で投入された警察犬もいた。演説する首相の傍らにはSP（セキュリティーポリス）が立ち並び、会場に目をこらした。 令和4年7月の安倍氏銃撃事件以降、警察当局は単独テロを実行する「ローンオフェンダー」への対応を視野に、人員を大幅に増やすなど要人警護の態勢強化を図った。ただ、その後も5年4月、和歌山市内で衆院補欠選挙の応援演説中だった岸田氏に爆発物が投げ込まれ、2人がけがをする事件が続いた。 今年4月の衆院東京15区補選では、他の候補者につきまとい、妨害した候補者らが公職選挙法違反罪で立件されている。今回は安倍氏の暗殺事件後、初めての全国規模での国政選挙となる。 ■有権者と直に触れ合う場 ただ、街頭演説は政治家が有権者と直に触れあう重要な機会だ。無類の「選挙好き」で知られる首相もこの日、演説後は聴衆スペースに赴いて群衆の中に入り、笑顔で写真撮影に応じるなど、約10分以上を有権者との交流に充てた。 夫婦で第一声を聞きにきたという男性（62）は、「やっぱり間近で声を聞くのは違う」と声を弾ませた。
一方、立憲民主党の野田佳彦代表が第一声に立った東京都八王子市の会場でも、金属探知機を導入した手荷物検査が行われるなど厳重な警戒が敷かれた。聴衆が巨大なぬいぐるみを持ち込もうとして、検査で止められる場面もあった。（末崎慎太郎、深津響）
