イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント国防相の解任を発表 ガザ戦闘方針を巡り対立表面化
【カイロ=佐藤貴生】イスラエルのネタニヤフ首相は5日、ガラント国防相を解任すると発表した。ネタニヤフ氏は「信頼の欠如」があった、と述べた。後任にはカッツ外相を起用する方針。 ガラント氏はパレスチナ自治区ガザの戦闘の進め方などを巡り、ネタニヤフ氏との対立が表面化していた。また、ユダヤ教の戒律に厳格な「超正統派」の徴兵免除の特権を廃止すべきとの立場で、連立政権に参加している超正統派政党などが反発していた。 ネタニヤフ氏は戦闘継続に向けて政権の安定を重視したとみられ、イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)は「政治的な生き残り」が同氏にとって最優先であることが確認されたと評した。また、停戦を仲介するバイデン米政権が大統領選への対応に追われ、目が届かない5日に解任を発表したとの見方を示した。 ロイター通信によると、ガラント氏の解任発表を受け、中道野党「イェシュアティド」のラピド党首らがネタニヤフ氏を批判したほか、デモ隊が高速道路の通行を妨害するなどして抗議した。 一方、カッツ氏は国家と国民の安全のため、国防相就任を受け入れると述べた。同氏はネタニヤフ氏の腹心とされる。後任の外相にはサール無任所相が指名された。 連立政権に加わる極右政党のベングビール国家治安相は、ガラント氏が国防相を務めていては「完全勝利は達成できない」とし、解任を歓迎した。