60歳で育児デビューも「できないことばかり」。いとうせいこうが“人生の断捨離”を考える理由
60歳目前で子どもが生まれ、「育休宣言」が話題となった作家・クリエーターのいとうせいこうさん。家族が増えたことをきっかけに、大量にある蔵書の処分や俳句デビューなど今までは考えていなかったことを始めたといいます。「年を取るごとに“そぎ落としたい”という思考が強くなった」と話すいとうさんに、子育てを通して起こった心境や生活の変化についてお話を聞きました。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
育児を始めてから、妻とスケジュールを共有するようになった
――いとうさんは、育休宣言をされて、現在は育児中だそうですね。 いとう: 僕は育休制度がないフリーランスなので、全く何もしなかったらお金が入ってこない。妻のスケジュールと照らし合わせながら、来た仕事を受けるか受けないかを決めているだけなのです。でも「育児中心のスケジュールを組むことにします」とTwitterに少し書いたらニュースになって大げさになっちゃって……。今日も泣きわめいている子どもをあやしてからここに来ました。 ――育児が始まってから、パートナーとの間にも何か変化はありましたか? いとう: 妻のスケジュールを先に確認するようになりましたね。これまでは、自分のやりたいことを何とかゴリ押ししようとして、勝手に予定を決めちゃったこともあったけど、今は怒られちゃうから(笑)。妻に何かやらなきゃいけない予定がもし入ってたら、子どもを見る人がいなくなっちゃうわけじゃないですか。となるとやっぱり、お互いの予定をすり合わせなきゃいけない。それは大きく変わりましたね。 ――得意な家事はありますか? いとう: ないんですよね。僕はやっぱり、家事については全てのことが人より劣ってるんですよ。ただ、楽しいですね。掃除すればやっぱり気持ちいいし、洗濯も上手に干せたら達成感があるし、「こんなに不器用な俺が干した洗濯物も乾くんだな、太陽ありがとう」みたいな気持ちになって救われます(笑)。