4カ月で75kg→55kgも…週1回投与で年6kg減という医師も認める「夢のダイエット薬」の自由診療の価格と副作用
■動悸、冷や汗、震えなど低血糖の副作用に注意 なぜ痩せるのか。マンジャロは「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれ、小腸から分泌されるGIPやGLP-1というホルモンと同じ作用をもつ。直接的に血中濃度を高めるインスリン注射とは異なり、膵臓からインスリンが分泌されるように働きかけるという。 「それだけではなく、その一部は脳に働き、食欲を抑える作用もあることがわかってきました。食欲が落ちるというと、何となく嫌だなと思うかもしれませんが、私は満腹感が早くくるイメージだと捉えています。糖尿病患者さんがマンジャロを使用すると、血糖管理の指標であるヘモグロビンA1cの値が糖尿病域から境界域(グレーゾーン)程度にまで改善し、食べすぎの習慣も抑えられます。その様子を見て、患者さんのご家族などが『私もほしい』と言うこともあります。そういった場合は保険適用外になりますが処方します」(牧田医師) コストはマンジャロ5ミリグラムペン1本で約3800円。一回の投与で効果は1週間続くため、1カ月の注射代としてはおよそ1万5000円。「価格の面からも夢の薬だと思う」と牧田医師は続ける。 「痩せたいからと、科学的でない怪しい治療に多額の費用をつぎこむ人もいるでしょう。それに比べてマンジャロは確かに減量でき、しかもとりたてて大きなデメリットもない。肥満を放置すればいずれ生活習慣病になってしまいます。そう考えると、この金額で健康を買えるともいえ、素晴らしいのではないでしょうか」 とはいえ、注意点がゼロではない。「GLP-1ダイエット」(1カ月税込み2万2000円)としてマンジャロを痩身目的で使用する吉木伸子医師(よしき銀座クリニック院長)は、こう説明する。 「気をつけている点は大きく2つです。一つは、副作用。軽い吐き気や下痢などの消化器症状は頻度が高いですが、多くは軽いもので、しばらくすると慣れて収まることが多いです。怖いのは低血糖。BMI25未満の方や65歳以上の方では発生頻度がやや高くなります。過度に太っているわけではない方がマンジャロで痩せたいという場合には、私は必ず3食摂り、極端に空腹の時間をつくらないこと、飴などを持ち歩いて低血糖症状(動悸や冷や汗、震えなど)が起きたらすぐ口に入れるように話しています」 急な低血糖を起こせば道端で倒れたり、車を運転していれば事故を起こすこともありうるからだ。