【ひねもすのたりワゴン生活】滋賀から城崎、そして神戸 5日間1500㎞のクルマ旅 その5
そして会えた長年の夢…琵琶湖の至宝
近江八幡に着いたのは夕暮れ前だった。結局、予定していた街巡りはできなかったけれど、長浜でのひと時があまりにも楽しく心地よかったので、これっぽっちも後悔はない。そのかわり、翌朝、近江八幡を発つ前に散策の時間をとることにした。城崎温泉に向かうつもりではいたけれど、いつものように行程をきっちり決めているわけではないので、すべては成り行き次第…もう慣れっこである。
この晩は、大阪在住の友人が釣りのたびに訪ねるという焼肉店へ出かけることにした。東京の釣り仲間たちも、琵琶湖に泊まる時にはここで食べるという。ホテルから徒歩で約5分という立地も嬉しい。着いてみると、「カメチク」というその焼肉店には、すでに何人もの客が開店を待っていた。
ここは牧場直営で、扱っているのは近江牛とのこと。次から次に客がやってきて、席が埋まっていく。すごい勢いで、この調子ではすぐに満席だろうから、オーダーは最初にまとめてしまったほうがよさそうだ。とりあえず、タンやカルビなど4種類、キムチなどを頼んでみたが、やはりしばらく待たされることになった。人気店の宿命である。
さて……友人たちも楽しんだ近江牛が現れた。まず、脂が軽い。もちろん、旨みも甘みもあるのだけれど、さらっとしていて脂が舌の上に残らない…しつこさが微塵もないのである。それに合わせてあるのだろうが、タレもあっさりと仕上げられていて、こういう焼肉は初めてだ。食べているのは紛うことなき焼肉なのに、何か別の肉料理を食べているような気がして、いくらでも食べられそうだ。最初のオーダーはほどなく完食し、追加を選ぼうとメニューを開いたのだが、その頃には店内はものすごい混雑で、店員も廊下を足早で行き来する。これでは、頼んでもしばらく届きそうもない。先を急いでいるわけではないけれど、とりあえず、近江牛を味わうことはできたし、このタイミングで店を変えるのも手だと思った。…というのは、ある食いしん坊の友人が絶賛していた寿司店が頭に浮かんだからである。大阪在住の彼は美食家として知られ、世の東西を問わず、飲食に精通している。そんな男がしばしば通う店が、たしかこの街だったと…。そこで、電話をして空席を尋ねると、ディナータイム真っ盛りだというのに、ちょうど2席あるという。なんという幸運。焼肉の後に寿司という流れもどうかと思うけれどこれも縁、せっかく近江八幡にいるのだから、楽しめるものは全部楽しんでおきたい。