プロ野球の開幕決める条件は「政府、世論、無観客」
ただ無観客開催にもリスクはある。 選手を含めたスタッフなど大人数の移動と宿泊の際に感染リスクが高まる問題だ。移動の際には、“3密”を避け、感染予防をチームが徹底しなければならないし、宿泊先では、外出規制、ホテル内での食事の際の注意も必要で、試合中は、「ベンチ内では(選手、コーチらが)マスクをつけて会話を慎むなどの対応」(賀来特任教授)まで求められることになる。 また社会的な影響として、球場の周辺にファンが集まったり、スポーツバーなどの飲食店での観戦に人が密集する懸念もあり、「無観客でも、その楽しみ方や行動にもリスクが伴う。啓発による対応が必要」(賀来特任教授)との課題も残る。 しかも、政府の「緊急事態宣言」の対象が全国に拡大され、都市間の移動を避けるように強く求められていて、安倍首相は、国民にGW中の「オンライン帰省」を要望した。今後、この都市間移動自粛要請が、どう緩和されるかわからないが、プロ野球の移動だけが特別に許されるわけではなく、世論の反発を受ける懸念も捨てきれない。 斉藤コミッショナーも、それらの課題を理解している。 「厳しい指摘もあった。(無観客でも)大きなリスクがある。5月6日以降、移動にどういう規制が求められ、移動は可能になるのか。国民の皆様に理解していただかないと(プロ野球だけが移動OKなのは)おかしいとなると難しい。県によって(新型コロナの)発症に差が出ていて、発症率の差があるところを移動することになる。例えば、発症率の低い仙台の楽天が(発症率の高い)大阪へ移動するリスクの問題、選手の理解の問題をどう解決するかを話し合い、できるだけ前向きに取り組んでいきたい」 また開幕は無観客からスタートするが、シーズンを最後まで無観客で押し通すのではなく、段階的に観客を入れることも視野に入れている。 賀来特任教授も、その可能性を示唆した。 「(自粛要請などが)緩和されてきたとき、様々なリスクを下げて、観客が入ることにはなる。日本とは、まったく状況が違うが、韓国も段階的に人を入れていくのだろう。台湾、韓国、欧州サッカーなどと、リーグ再開の情報共有が必要になる」 無観客の解除に関しても、先に動きだしている台湾、韓国の例が参考になるのではとの意見だ。